5/26 契約のことで揉める

引っ越し日記。
実はもう引っ越しは済んでいるのだけど、忙しくて全然日記が書けない。
あまりちゃんと練っていないので、多分これはあとで推敲すると思う。
ということで推敲するまでは全文公開にしておく。

まさか入居前に揉めるとはね……。



契約のために不動産屋に行ったら、契約の場所は不動産屋ではなく管理会社だと言われた。不動産屋と管理会社は距離的にはそんなに離れていないので、タクシーに乗ろうと思ったのだが、私は道端でタクシーを捕まえるのがものすごく下手だ。十台に一台捕まればいい方。不動産屋の前の道は大通りだけど、全然タクシーが通らない。駅まで歩いて戻りつつ、タクシーが通らないか待ちつつ、管理会社に連絡して遅れる旨を連絡した。先日内見に立ち会った中年の女性が電話に出て、若干怒ってる感じだった。まあ無理もない。
駅前まで歩きながらタクシーを待ったが、これ以上待っていても時間をロスするだけだと思い、地下鉄に乗った。近距離だけど地下鉄だと乗り換えが必要で、20分ほど要した。そもそも地下鉄でなければ、大抵は駅前にタクシー乗り場があるはずなのだけど……。慣れない土地は難しい。
間違えて不動産屋に行った時は前回内見を担当してくれた人はおらず、他の人に「契約は管理会社の方と案内したはずですが」と言われたのだけど、電車の中で担当者とのLINEのやり取りを見ても、それらしきやり取りがない。強いて言うなら「当日は同席できません。直接足をお運びください」との一言に違和感を覚える程度。賃貸の契約は管理会社でやる、というのは常識なのだろうか。おそらく私が世間知らずなだけなのだが、引っ越しなんて人生でそう何度もやるものでもないし、私は2回目だけど前回は仲介業者を挟んでいないから、内見を案内してくれた不動産屋で契約だった。こういうことははっきり案内してほしいものである。
駅に着いてから管理会社の事務所まで猛ダッシュした。40分遅れで到着したときには、管理会社の女性Nさんはかなりお怒りの様子だった。「タクシーなら5分ですけどね」と言われたが、遅れた上にタクシー代ケチってきたと思われているんだろうな。
冊子になっている契約書をNさんが読み上げつつ口頭で補足している間、私は大人しく物分かりの良い人間を装っていた。幸いそれなりの大きさの堅めの企業に勤めているので、事務方だけどフロント業務をしているフリをして、とにかく真面目さをアピールした。
しかし、この時点ではどんなに取り繕っても無意味だったようだ。虚偽申告の注意事項を読み上げる時にNさんに「なぜ申込書に嘘書いたんですか」と言われた。
「連帯保証人のお父様の欄、八十五歳無職って書いてましたけど、全然違いますよね」
いや身に覚えがないのだけど。私がまごついていると、Nさんが件の申込書を持ってきて「これ書いたのあなたですよね」と言ってきた。サスペンスドラマみたいな台詞だな。それにしても申込書に見覚えがない。間違えて書いたかも?と言葉を濁しながら思い出そうとしていると、またNさんが「二枚とも同じこと書いてあるんですよ。間違えることあります?」と言ってきた。確かに、二枚ともそっくりだけど字の感じが少し違う。いや待てよ。
「これ、私の字じゃないですね」
「じゃ誰が書いたって言うんですか」
知らねーよ。あ、思い出した。
「思い出しました。不動産屋の人に代筆してもらったんです」
「は?」
は?はこっちの台詞じゃい。確かに父の生年月日を訊かれたのは覚えている。年齢は多分訊かれてないから書かなかったけど、西暦から計算して不動産会社側で記入したのだ。そして多分その西暦の数字を私が伝え間違えたのだろう。ことの経緯をNさんに伝えたが、「まああとで契約書にサインしてもらえれば字で分かることですけど」とまだ疑っている様子だった。
「こちらでお父様にお電話で確認できて、無職じゃないことも分かったから良いですけど、保証人が無職だと保証人になれないんですよ。大家さんにも相談して、こういうこと書く人ですけど入居大丈夫ですかって聞いたら、まあそれくらいなら書き間違いってことで今回はいいんじゃないですかってご厚意で契約に至りましたけど、本当だったらこれ、契約通らないんですよ」
ネチネチうるせえなこいつ。聞いている間、不動産屋が代筆した契約書をチラッと見たが、職業のところにNさんが手書きで訂正した跡があり、実家の店の名前が書いてあった。さては、西暦から年齢を計算し、八十五歳なら無職だと決めつけて代筆した上に私に確認しなかったな。あの不動産の担当、名刺に代表取締役って書いてあったが……。
虚偽申告のことは一旦置いておいて、契約書を読み進める。私はまたしおらしく聴くことに徹していたが、再度今日の遅刻のことに触れられた際にNさんが「ここ(管理会社)の案内図を不動産屋からもらってると思いますけど」と言ってきて、私はすかさず「それは確実にもらってないですね」と口を挟んだ。地図をもらっていないということは、確実に契約の場所を知らされていない。来店した時は確認不足で自分に落ち度があったかもという雰囲気を出してしまったが、自分の中で不動産屋に対する不信感が高まりに高まっていたため、さすがにきっぱり言っておかなくてはと思った。Nさんはやっと不動産屋に落ち度があると判断したらしく、あとで不動産屋に電話しときますねと言った。
電話と言えば、この前父親にNさんから確認の電話があった旨報告をもらったが、「管理会社の人も気に入ってくれてたから是非契約してくださいって言ってたよ」みたいなことを言っていたな。あいつ大事なところ全部端折って報告してきたろ……。どうりで違和感があると思ったら。
その後一通り契約書の読み合わせを終えた後は、マゼンタのインクをふんだんに使用したハザードマップで避難所の案内を受けたり、栄えている隣駅に行くには電車よりもバスが便利で安いなどという地元情報を教えてくれた。最初からこんな和やかであってくれればと思わずにいられない。本当に疲れた。まだ13時なのに。

帰ってから父に経緯を確認したところ、やはりNさんからの電話の際に書類に不備があって色々確認されたとのことだった。そこを端折っていなければもう少し心の準備ができていたはずなのだが。
不動産屋には長文LINEを送り、少々やり取りをして仲介料を半分にしてもらった。

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