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【安曇野から発信する潤一博士の目】52~松本盆地-その1~

 松本盆地は長野県中西部に位置する。「盆地」は、内陸で山地に囲まれた低地で、平坦な地形が多く、人びとの生活の場となり田畑も多い。日本の人口の多くは、海岸平野と内陸の盆地に集中している。
 松本盆地は北緯36°5'(塩尻)から36°30'(大町)に南北に細長く、東径137°50'位に位置する(南北約50㎞、東西約10㎞)。その面積はおよそ480㎢である(写真②・➂)。
 盆地内では、河川の堆積物が厚く(300m位)、扇状地の平坦な地形が広がり、河川段丘地形を形成している。
 盆地内の主な河川は奈良井川、梓川、高瀬川などで、合流して犀川となり長野盆地へ流れ下る。
 松本盆地は、フォッサ・マグナの西縁部に位置し(写真①)、その地下には糸魚川-静岡構造線が伏在する。糸魚川-静岡構造線は、松本盆地の形成に深く関わった大断層である。
 松本盆地の西側には、古期岩類からなる北アルプスがあり、海抜3000m級の山々が連なり、盆地底とは、2200~2400mの比高がある。盆地東側には、新第三紀の海成層(フォッサ・マグナの海の堆積物)があり、海抜2000m級の山地をつくっている(写真④⑤⑥⑦)。


①松本盆地の地質学的位置(山下昇編著,1995年に一部加筆)


②松本盆地周辺の地形(国土地理1/20万地形図「高山」と「長野」に加筆)西側に古期岩類よりなる3000m級の北アルプス、東側に新期岩類よりなる2000m級の山地 


③松本盆地周辺の接峰面図(松本盆地団体研究グループ,1972年に加筆)


④松本盆地(手前の低地)と西側の北アルプス(穂高岳付近)
高ボッチ高原から


⑤松本盆地(手前の低地)と西側の北アルプス(穂高岳付近から常念岳付近)
高ボッチ高原から


⑥松本盆地(手前)と西側の北アルプス(常念岳付近から燕岳付近)
高ボッチ高原から


⑦安曇野(手前)と東側の大峰山地のフォッサ・マグナの新第三系山地 

(地質学者・理学博士 酒井 潤一)


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