【安曇野から発信する潤一博士の目】34~地球温暖化ーどうする人間(その3)~
最近、新聞・テレビなどは、地球の温暖化が加速している兆候をいくつも伝えています。
7月下旬のある日には、世界平均気温が、これまでの最高値を更新したとか、南極氷床やグリーンランド氷床の融解速度が大きくなっているとか、メキシコ湾岸流(赤道域の熱を北極域へ運び、温和な気候形成に役立っている)の流速が弱まっており、地球エアコンと呼ばれる深層海流の大循環が停止するかも知れない、とか、などなど…。これに追い打ちをかけるように、ロシアのウクライナ侵攻による戦争は、大量のCO₂を発生させ、温暖化阻止の取り組みをあざ笑っているかのようです。
このような状況に対して、“地球を守れ”という声も高まっています。しかし残念ながら"善意ではあっても"地球を守れ"では、温暖化に対する認識が甘いとの指摘があります。
「地球進化46億年の物語」(ロバート・ヘイゼン著、円城寺 守・監訳,渡会 圭子・訳,講談社ブルーバックス)で、著者は、次のような主旨のことを述べています。
「温暖化に対する行動は“地球を救う”ためではなく、人間という種(しゅ)のためである。温暖化しても、地球は少しも困らない。地球はこれまでに、気候変動によって多くの動物を絶滅させてきた。例えば、5600万年前に、火山の大噴火によるCO₂とメタンの濃度上昇が原因で、温暖化が1000年以上続き、動物が大量絶滅した(PETMイベント)。この1000年かかった温暖化のスピードを、この100年間の温暖化は、追い越してしまっている。これほど急激な変化は過去に例がなく、地球が今後、どのように反応するのか?誰も分からない。近未来において、無駄の多い人間社会は生き残れないかも知れない。人間が絶滅しても他の動物がその空白を埋めて進化していくだろう。そうならないために、人間が行動を起こすのに、残された時間は少ない。」
改めて問われる。地球温暖化、どうする人間?
人間(ヒトという種)の存続がかかっているのだ!
(地質学者・理学博士 酒井 潤一)