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【安曇野から発信する潤一博士の目】11~氷河時代に日本列島で栄えた植物たち

 180万年前ころから、寒冷系の植物が日本列島に入ってき始めた。メタセコイア植物群は、まだ繁栄中あったが、冷涼寒冷な気候が、時々日本列島をおそうようになったからである。その初期の寒冷系植物は、ヒメバラモミ(トウヒ属)、チョウセンゴヨウ(マツ属)、スギ(スギ科 スギ属)、ミツガシワ(水生植物)などである。新しく出現したスギは、同じスギ科のメタセコイアと花粉の形態がほとんど同じである(写真参照)。
 更新世前期の中頃(180万年前)以降、メタセコイア植物群と寒冷系植物は共存しつつ、寒冷系植物が次第に勢力を伸ばし、更新世中期の中頃にはメタセコイア植物群は、日本列島から姿を消し、主役の交代が完了した。

ヒメバラモミ、小海線信濃川上駅の北(長野県天然記念物)、八ヶ岳に自生
ミツガシワ(志賀高原)
トウヒの花粉 150ミクロン(0.15mm)
メタセコイア植物群と第四紀型植物の遷移
市原 実(1993)を参照して作成した(酒井潤一、2021)
チョウセンゴヨウ(酒井宅)
スギ(京都大学芦生演習林)
チョウセンゴヨウの葉(5葉)と種子
スギの花粉 40ミクロン(0.04mm)
ブナの花粉 60ミクロン(0.06mm)
五葉型マツの花粉 120ミクロン(0.12mm)

(地質学者・理学博士 酒井 潤一)


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