島日記 秋の夕暮れ
夕暮れ時、東の空があわあわとした色に染まっている。
本来の西の空はもっと薄く、南側が一番濃い。
寂しさを誘う秋の夕暮れの景色というより、ほっとひと息の感じ。
血気盛んな頃は、夕暮れどきをもの悲しく思い、それに酔った。
最近は一日終わったねと慰労される気分になる。
ギンギンギラギラの夕焼けも嫌いではないが。
秋の夕暮れは清少納言だけではない。
三夕の歌も有名である。
新古今和歌集に並んで収められている。
寂しさはその色としもなかりけり 槙立つ山の秋の夕暮れ 寂蓮
心なき身にもあわれは知られけり 鴫立つ沢の秋の夕暮れ 西行
見渡せば花も紅葉もなかりけり 浦の苫屋の秋の夕暮れ 定家
体言止めの歌、秋の夕暮れ。
そこではなくて「けり」に目がいってしまった。
「けりをつける」という言葉が浮かんできた。
終わりにする意味の慣用句だが、語源は短歌や俳句にあるようだ。
けりは「〜だ」「〜だったなあ」と文末につける過去、詠嘆の助動詞。
そこから、けりをつけると終わり、決着をつける意味になった。
もう一つ、物語などが「そもそも」とはじまり、「〜けり」で語り終わったからという説もある。
誰が言い出したか知らないが、こんな形で現代に残っているのは面白い。
落語に出てきそうな感じもする。
秋の夕暮れを書こうとしたら、違った方向でけりがついてしまった。
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