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薄明

雨はすぐにやみ、まだ暑い日中が戻ってきた。
日の出は遅くなり、夕方は「釣瓶おとし」といわれるほど、すぐに暗くなる。

日の出、日の入りの、まだ明けきってない、沈んでもまだ暗くなっていないときの様子を「薄明」という。
英語でいうトワイライト
空気中の塵による太陽光の散乱で薄暗く見えるようだ。
これからますます薄明が短くなっていく。

例によって薄明はたくさんのいいまわしがある。
日の出は、「黎明」「夜明」、「暁」、「曙」、「東雲」、「払暁」、「彼は誰」など結構多い。
なんだか学園と続きそうだ。

日の入りは、「薄暮」、「夕暮れ」、「日暮れ」、「黄昏」、「誰そ彼」などがある。
こちらは寂しそうな名前ばかり。
その時間を、「逢魔時」おうまがとき、魑魅魍魎の現れそうな雰囲気をいう。
「大禍時」おおまがとき、これは不吉なことが起こりそうな気配をあらわす。

太宰治の「薄明」は、一家で妻の実家に疎開して、薄氷を踏む思いでいたところに、実家も空襲で焼け出される。
てきぱきと動く女性に比べてアル中の私は何もできないことを自虐的に描く。

結膜炎に罹り失明していた上の女の子が、目が開き、「みんな焼けちゃったね」と微笑むところで終わる。
希望の微笑みだろうか。

ビジンハクメイは薄命と書く。
「薄明」「薄命」のような字を「同音異議語」という。
わかりやすい漢字だといいのだが、どっちを使うか迷う漢字がある。
「荒い」「粗い」や「収める」「納める」などは辞書をひかないと不安である。

面白い文章を見つけた。
「キシャのキシャがキシャでキシャした」
これは答えなくともわかりそうだ。

「コウショウ」という同音異議語は48漢字あるという。
日本語を学ぶ外国の人は途方に暮れそうだ。

暮れるが出たところで「薄明」はこの辺で。

渋柿をもらったから吊しましたと写真がきた。
みんないろいろやっている。
私はまだ草取りが終わらない。

薄明を。

海で拾ったつるつるの石 文鎮に 5×8


今日も読んでくださってありがとうございます。

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