野バラ野イバラ
友だち庭の白いバラが咲きはじめた。
うっとりする。
いちばん好きなバラだ。
植えた由来などをお喋りするが、どうも私と一緒に苗木を買ったらしいのだ。
いっこうに覚えががない。
オールドローズの一種だろうと思っていたが、
野生のバラの園芸種だった。
原野や山林に自生する野バラだ。
海岸に這うように咲いているのは、テリハノバラという。
北海道に咲くハマナスも野バラだ。
白い一重の花を房状につけ、棘が鋭い。
ローズヒップもとれるのかと思ったら、日本の野バラは生薬として利用、利尿、便秘に効能があるそうだ。
ローズヒップティに使われるのは、イヌバラといい、日本には自生していないというが、ハマナスはどうなのだろう。
実も野バラより大きいらしい。
ドッグローズの苗木を、いく種類か購入した時期があるが、花が咲くには至らなかった。
バラでローズヒップがとれる庭に憧れていたが、どうも私は、好きなのにバラと相性が良くないようだ。
最近は諦めて他所のバラを眺めるだけで、満足している。
「野バラ」はゲーテ作詞、シューベルト作曲と覚えていたが、中学校で歌っていたのは、ブェルナー作曲だったらしい。
ウィーン少年合唱団の歌もそうだ。
シューベルトの曲は歌曲みたいにメリハリがあり、力がある。
合唱団が歌うブェルナー曲は流れるような優しい歌声だ。
久しぶりに聴いてみた。
音楽は不得手なので勉強になった。
「わらべーはみぃたり、のなかぁのばーら」
ウイーン少年合唱団の名は、とんと聞かなくなってしまったが、あの透明な歌声は記憶している。
友の庭の花たちを撮った。
島にはコンロンカというハンカチノキの原種が自生している。
もっと野生味のあるつる性の低木だ。
今年はまだ見かけない。
「あれはなんだ、なんの花?」
通る度に思う。
ある場所はわかっているのに毎年のことだ。
野バラ野イバラ、本当に素朴であいらしいバラだ。
人間には決して作ることはできない造形だ。
今日もつきあってくださってありがとうございました。