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雲に誘われて

朝夕が涼しいというより肌寒くなってきた。
掛けるだけでよかった布団が、ふんわり包み込んでほしいと感じる季節だ。

白いぽっかり雲に誘われて、草取りをほったらかして出かけた。
愛車カブも立派な倉庫に避難して窮屈な思いをしたはずだ。
いざ、秋を探しに。

青空をめざして走っていたら、どんよりの曇り空になっていく。
快晴なのは西南のほうだけ、東のほうはいつもグレーの空をしている。
一本道は台風の片づけで大型トラック、電気工事の車があちこちに停まり、せわしく働いている人ばかりだ。

やましい思いが少しするが、「私だって働く時は働いてる」と、スピードを上げる。
ちょっと山道に入ろうと曲がったら、あれあれあれー、倒木や折れた枝が道を覆ってハンドルをとられる。
台風のつめあとが散乱し、秋を見つけるどころではない、下ばかり見ながらようやく県道に戻った。

買い物だけにしようと、お店に入ると、ああ、ガラガラの棚が迎えてくれた。
そうだった、交通網も完全に回復していないのだった。
空はもっと暗くなってきた。
行きがけの弾んだ気分はしおれ、しょんぼり帰途に着く。

おお、我が家付近は青空が続いている。
おとなしく草取りをしていればよかったなあ。
いいえ、茶園の無農薬の緑茶は買えた。
茶園も台風の後片付けで大忙しらしい。
日本酒も買えたし、文句は言うまい。

こんな日もあるだろう。
それもよし。

写真は少しだけ撮ってきた。

あれー虫までいる サキシマフヨウがちらほら咲きだしていた
山の辺の道
山は降っている
ひとつだけ秋を見つけた



今日も読んでくださってありがとうございます。

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