島日記 秋の空のように
珍しく雨の音がしていた。
朝焼けは見えないはずとぐずぐずしていたが、音が止んだので窓を見ると、サーモンピンクの雲が漂っている。
今朝こそ庭の草を取ろうと思っていたのに、決心はいつも砕ける。
この空模様ではすぐに暑くなるだろう。
草は濡れているし。
嘆息と安堵、安堵のほうがまさり、いそいそと起き上がる。
女ごころか男ごころか知らないが、秋の空は変わりやすいという。
変わることを嫌う人もいるが、変化なくして何の人生ぞと思うほうである。
後半になって安住の地を見つけたが、今の生活が変わることもやぶさかではない。
嬉々としてまた取り組むだろう。
だが、経済的なこととと身体のことを思えば、この生活を変えたくない気持ちが強いかもしれない。
刺激は少ないけれど静謐であることは変えがたい。
火急のことが起きない限りは今を維持するだろう。
秋の空は変わりやすいばかりではない。
天高く、すみきって、また鰯雲や羊雲のように幻想的な美も見せてくれる。
秋の夜空も名月や星や銀河がくっきりと浮かび上がる。
陰陽五行説では人生を青春、朱夏、白秋、玄冬とあらわすようだ。
私は白秋の終わり頃に来ているが、まだ玄冬には至っていない年齢。
五木寛之氏はその四季を、クレヨン画、油絵、水彩画、水墨画にたとえている。
白い秋、水彩画、なんとも澄みきった秋の空ではないか。
春の新緑に勝るものはないと豪語していたが、秋になれば秋を称賛したくなる。
そうこうしている間に秋の夜長がやってくる。
今年の秋の夜長はどう過ごそうか。
スーパーに安いゴボウが並んでいたのでニ束も買ってしまった。
ささがきにしてゴボウ丼、揚げたのはごぼ天うどんにしよう。
値上がりが続いているなか特売が見つかると嬉しい。
旬ではないが、粗悪品でもなくて得した気分になった。
今日もお付き合いくださってありがとうございます。