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島日記 老いは軽み
「かるみ」とは松尾芭蕉が行きついた晩年の俳句理念だという。
芭蕉の心には程遠いが、年を経ると「軽い」のがいい。
重い荷物を持ってくたくたになりたくない。
身も心も軽くなれば日常が楽になる。
芭蕉翁も絶景より身近な景色がよくなったのかもしれない。
現役のわずらわしさともおさらばしたし、寂しさには鈍いので、昨日を引き摺らずにいればよい。
新しい一日をきらきらと受け止め過ごしていけば軽さを維持できる。
だが身のまわりのものが重い。
私は実用的なものより、役に立たないものに惹かれるようだ。
本も向上や勉強のためではなく、愉しみ、娯楽のために読む。
役に立たないものばかり詰め込んできたと思う。
それでも文章を書くのに、少しは足しになっているかもしれない。
余計なものもイメージを膨らませるのに必要だ。
脇役がいないと物語は作れない。
生活で必要ないもの、ただ眺めて落ち着くもの、思い出のかけら、みすぼらしい部屋を理想の部屋にかえてくれるもろもろ、そういうものばかりに囲まれている。
森茉莉の部屋のように。
台所も道具類であふれている。
みんなお気に入りだ。
使用頻度の少ないものも捨てきれない。
身体を軽くするのは容易だが、ものを減らすのはまだ無理のようだ。
終活で殺伐とするより、好きものに囲まれて過ごしたい。
ポンカン収穫に行った。
初日の不安はあったが、色づきが悪く、午前中で終わった。
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ミカン園には茶の木が多い。
昔は自家用に栽培していたのだろう。
手揉みだけでもおいしい紅茶ができる。
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アロエの花で道脇がおおわれる場所があり、咲いているだろうと思って行ってみたら、やっぱり満開だった。
植物はきちんと時期になれば咲く。
外れないので安心だ。
脚立に乗るのは、まだ大丈夫だった。
用心して追い込むよりも、脚立にもひらりと乗れるように身軽になろう。
今日も読んでくださってありがとうございます。