島日記 冬の予感
風音が強くなり、細かい冷たい雨が舞っている。
今朝はじめて冬の到来を感じた。
住んでいるのは南西部だが、北西の風が強く吹き、気温は高くても寒いところだ。
丸い島なので集落によって気候や、言葉はもちろん、文化まで少しずつ違うようだ。
あちこちから住みついたのだろうから当然である。
道路がない頃は集落を船で行き来していたそうだ。
どこの集落も港がある。
そして違う集落の人と仲良しになると「島いとこ」という関係ができる。
「義兄弟」みたいで面白い。
個人ではなく家と家の助け合いみたいな感じだと思う。
その関係を大切にしたのは、私が移住した頃のお年寄りの時代ぐらいまでだろう。
若い人は話に聞いている程度で、知らない人も多いようだ。
風は一日中吹く。
高い山と海に挟まれているから仕方がないのだが。
ヒュウヒュー、ゴウーゴウと心身を苛まれるようでめげそうになる。
生憎というか、折よくというか、冬はポンカン、タンカンの作業の季節で、二十数年南の地域で働いてきた。
気温も数度違うし、島の農業を担う地域だ。
ミカンが終わればジャガイモ、ガジュツ、ウコンと畑の作業が春まで続くので、家にいる時間が少なくてすんだ。
台風や北西の風がなかったら、本当に楽園なのだが。
小さなストレスはあったほうがいいというし、あまり居心地よいのも問題かもしれないと言い聞かせている。
植物もそろそろ冬に向けて準備しているようだ。
ツワブキは春にはおいしい食材になるが、黄色い花も、島を覆うほど咲きほこる。
島に来た頃は10月に満開だったのが、いまは12月になった。
野生の草花を見ていると、相当温暖化が進んでいるようだ。
今日も読んでくださってありがとうございます。