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北海道アウトドアフォーラム ~5年目のチャレンジ

今年もあと数日で北海道アウトドアフォーラムの開催日を迎える。

北海道アウトドアフォーラムとは、毎年この時期に北海道日高で道内外のアウトドア関係者が集まって学びあうイベントだ。

今年も既に200名近い申込みを受けているが、そのほとんどがアウトドアガイドや事業者、団体職員、大学関係者など、いわゆる「プロ」の集まりというのが大きな特徴。

そんなアウトドアのプロたちが200人も集まり、2泊3日で講演やワークショップ、情報交換会などを通じて学び、交流し、つながる。これだけ読むとなんとも濃そうなイベントだが、実際かなり濃密な世界が繰り広げられる。もちろんスタッフも参加者も、終了時にはへとへとになっている。

始まりは飲み会、そこで生まれた「飲み会第一主義」

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北海道アウトドアフォーラムが始まるきっかけは、5年半前の2015年5月。4月に国立日高青少年自然の家に赴任した久保田所長(当時)と私が、札幌で道内のアウトドア関係者数名と交流会を行ったのが始まりだった。

その交流会の中で「北海道には数多くアウトドアや自然体験の関係者がいるが、横のつながりがない(薄い)」という課題を耳にし、「じゃあ日高で団体や分野の垣根を越えた交流イベントをやろう」という話の流れになった。飲み会の話題がそのまま流れて消えず、すぐに実現するのがこの業界のすごい(怖い?)ところ。6月に早速準備会を開き、7月には札幌で13名の委員による第1回実行委員会を開催した。

委員の選定にあたっては、アウトドア事業者をはじめ、自然学校や青少年施設、大学など広く自然体験活動や野外教育活動に関わる各分野の代表者を集めた。その際、近い関係者から「あの人とあの人は合わないから難しいかも、、」という類の助言もいただいたが、「そんなこと言ってる場合じゃない」「(飲んで)とことん話せば理解してもらえる」という前実行委員長と私の共通認識を優先した。

そういった経緯もあり、毎年フォーラムの前後に開催する実行委員会においても、会議は粛々と進めつつ、その後の情報交換会(という名の飲み会)で熱い議論を交わす「飲み会第一主義」が継承されていくことになる。

今思えば、本州から来た「よそもの」の久保田さんと私が旗振り役となり、「国立」の施設が主催者となることで、余計なしがらみや業界の常識に左右されず実行できたのが良かったのかもしれない。基本的に善良で前向き、さらに酒好きが多い業界だというのも大きいだろう。(もちろんお酒が苦手の方も大歓迎!)

「業のつながり」が仕事を生み出す

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とにかくまずはやってみよう!と開催することになった第1回のアウトドアフォーラムだが、当初は土日開催の計画だった。たまたまその週末が北海道アウトドアガイド資格の試験と重なり、他の週末も予定が合わず11月の平日に開催することになった。そんな経緯もあって、50人集まればいいかと思っていたところ、なんと147名もの参加があった。

後付けではあったが、実行委員が集まりやすい平日に開催したことで、プロが参加しやすいフォーラムになった。これまでに同様のフォーラムがなく、訴求力もあったと思われる。結果的に、職業でアウトドアに関わる参加者が多く集まったことで、参加意欲が高く、真剣な議論や交流が多くの連携や人脈(ワーキングネット)を生み出すことにつながった。

それ以降、今年の第5回に至るまで「業のつながり」を意識し、10月末~11月頭の平日開催を続けている。実行委員会も就任希望者が増えて年々拡大、いまや30名を超える大所帯となった。その所属もアウトドア事業者や自然学校、大学関係者といった当初のメンバーに加え、アウトドアショップ、メーカー、旅行会社、動物園、町役場、個人事業主と多岐にわたる。毎回行われる実行委員会がさながら「縮小版アウトドアフォーラム」の様相だ。

また、彼ら実行委員が核となり、年に一度のフォーラムをプラットフォームに、異業種連携や地域間連携といった成果がどんどん生み出されている。道内のキャンプ場とメーカーがタイアップして製品導入やブランディングを実施、動物園と青少年施設・環境教育NPOが連携して周遊ツアーを企画、自然学校とNPOが大学と協力して合同就職説明会を実施、など様々な連携事例が聞こえてきて、事務局として嬉しい限りだ。

地域、年代を超えた成果の広がり

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フォーラムの成果は、地域や年代を超えて広がっている。各地の実行委員が中心となって開催する「地域ミーティング」がそのひとつ。フォーラムと同様に周辺地域のアウトドア関係者が集い、スキルアップや交流を行う場が各地で設けられている。これまで滝川、小樽、登別、津別、中頓別で実施され、今年は道南での開催を検討中だ。

もうひとつが「若手研修会」の誕生。フォーラムでのワークショップがきっかけとなり、アウトドア業界の若手のスキルアップとネットワーク構築を目的として設立された。2018年から「アウトドアユースウェーブ北海道」に改称し、スキルアップのための研修やミーティングを定期的に実施、フォーラムで成果発表を兼ねたワークショップを開催している。

地域ミーティングもアウトドアユースウェーブ北海道も、実行委員を中心とした自主組織で運営されていて、年に1回のフォーラムとリンクすることで活動の拡大や、新しいムーブメント誕生のきっかけになることが期待できる。

目指すのは「全員参加型」のフォーラム

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北海道アウトドアフォーラムは「全員参加型」のフォーラムを目指している。私たちがイメージする参加型とは、参加者ひとりひとりが発表者・発信者として関わり、教える⇒学ぶの一方的な関係ではなく、お互いに学びあうという相互作用的な関係である。そのため、特別講演を除いて、プレゼンテーションやワークショップ、展示といったコンテンツはすべてエントリー(公募型)を基本としている。

もちろん当初からそうだったわけではなく、はじめはほとんどが依頼型、事務局がお願いして発表してもらうスタイルだった。しかし、依頼型だと発表者=講師という位置づけになり、お金というメリットと引き換えに知識や技術を提供するという意識になりがちだ。そうなると講師は担当の時間に来て発表が終われば帰ってしまい、交流やつながりというフォーラム本来の目的からは離れてしまう。

そこでモデルにしたのが、山梨県清里で30年以上続いている「清里ミーティング」だ。清里ミーティングでは一部のゲストを除いてほとんどのコンテンツを参加者のエントリーで担っており、発表者も一律に参加費を払って参加している。民間のホテルで開催していることもあって、参加費も当方のフォーラムより格段に高いが、それでも毎年全国から200名近い参加者が集まる。

清里ミーティングもアウトドアフォーラムも、遠くから交通費や参加費を払って参加するからには、それ以上のメリットが得られることが重要だろう。そのメリットは情報や体験、人脈、製品や活動のPRなど人によって様々。実行委員や発表者など、フォーラムに積極的に関わる人ほどメリットを享受できる仕組みが理想だ。その点ではまだ十分とは言えないが、今年は例年以上にエントリーが多く、選択ワークショップは過去最高の28タイトルに達した。少しずつ理想の「全員参加型」に近づいていると言える。

5年目の変革、そしてチャレンジ

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今年で5回目を迎える北海道アウトドアフォーラム、毎年いろいろなチャレンジに取り組み、回を追うごとに進歩していると感じる。一方で、今年度は大きな変革期を迎えている。そのきっかけが、久保田さんの定年退職に伴う異動だ。

設立から今年の3月まで、久保田さんとは周りが心配するほど意見をぶつけ合い、2人3脚で運営を行ってきた。4月に日高自然の家に赴任した中田所長が実行委員長に就任し、新たに運営委員会という組織を立ち上げて運営に臨んでいるが、年度当初は試行錯誤の連続だった。

「今年は現状維持でいいのではないか」そんな意見も出された。顔を合わせて議論する時間が取れず、リアクションのなさに焦りを感じることもあった。しかし、チャレンジの積み重ねが今のフォーラムの評価につながっていると考え、「どうすればもっと面白いフォーラムになるか」を基準に準備を進めてきた。その結果、たくさんの方の賛同を得てエントリーをいただき、例年以上の充実したコンテンツを揃えられたことに感謝は尽きない。

変化にリスクはつきものだが、新しい考え方や手法を取り入れて進化するチャンスでもある。今年もまたたくさんの参加者が日高を訪れる。初めてフォーラムに参加する方もいるだろう。これまで関わってきた委員や参加者がそれぞれ新たなチャレンジに取り組み、新しい委員や参加者がこれまでにない風を吹き込む。今年もそんなフォーラムになることを願っている。

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