フリースタイルピアニストけいちゃん作詞作曲シンフォニア(映画「美男ペコパンと悪魔」主題歌)の世界を紐解く…かもしれない個人的考察と感想文Vol.10
【Vol.10 アニキと悪魔が再登場】
〈シンフォニアMVはコチラ↓〉
〈映画「美男ペコパンと悪魔」公式HPコチラ〉
〈はじめに〉
この文章は私が映画「美男ペコパンと悪魔」と主題歌シンフォニアのMVを見て感じた事と主観的なイマジネーションで自分の頭の中を整理する為にまとめた個人的な考察と感想文である。
〈3つの世界を描いた主題歌〉
けいちゃんご本人がインタビューで3つの世界を描いていると語っていたこの曲。考察をしていく上で大前提となるその3つの世界を記しておく。
【3つの世界とは】
1.映画の中 現代世界(隼人と亜美)
2.映画の中 さらに物語の中 中世世界(ペコパンとボールドゥール)
3.映画の外 MVに描かれている世界・私達の居る現実の世界(けいちゃん自身も含む)
概ねインタビューでけいちゃんが答えていた事だがそれに加えて私の主観を含み独自の解釈となっている。
〈前回のVol.9はコチラ↓〉
【恐れ知らずほど…】
歌詞考察やり始めた時にイヤな予感はした。
最初の言葉からして引っかかり歌詞の意味を解釈するのに頭をひねり続けた。
一つ山を乗り越えてもまた次の山がすぐにやってくる。
毎回毎回一体何の為にこんな事をしているのか書いているうちに分からなくなった。
今から思えばそれこそ"恐れ知らずほど前に進めんだ"状態で私はただやみくもに歌詞の考察を続けてきた気がする。
その原動力といえばただ一つ。けいちゃんがどんな事を考えてこの歌詞の世界を作り上げたのか、少しでも自分なりに理解したいという気持ちにほかならない。
書き続けられるか何度も不安になったが楽しみに読んで下さっているというお声をいただきなんとかかんとかここまで来た。
始まった事にはいずれ必ず終わりがやって来る。
それも寂しい気もするがあと少しの間シンフォニアの歌詞の世界に浸ってみることとする。
【すんなり分かる歌詞!】
ここまで来てやっと言葉通りすんなり受け取れる歌詞が登場した。
「誰かと誰かの 夢物語に挟んだしおり
どこからだってまた 始められる物語」
これは映画「美男ペコパンと悪魔」をご覧になった方であればすぐに理解できるはずだ。
病院で昏睡状態になっている隼人の枕元で少しずつペコパンの物語を読んでいく亜美。
ここでの"夢物語"はペコパンとボールドゥールの物語である。いつだってしおりを挟み読むのをやめてしまう事も出来るし、また読み始める事も出来る。
永遠に本を閉じておく事だって可能だ。
しかし「どこからだって また始められる物語」と言う事でけいちゃんは"前に進む"事を示唆しているのではないか…そんな事を感じた。
【針とは…】
続く歌詞はこう
「針落とし 巻き戻る期待」
私にはすぐに映画の一場面が頭に浮かんだがネタバレをしないと決めているので具体的な描写は避けたいと思う。
ただ"針"について言えば各インタビューや舞台挨拶でボールドゥール役の下尾みうさんが糸車をひたすら練習したと明かされているので糸車の"針"の事だと言って良いだろう。
眠りの森の美女でオーロラ姫が指を刺して眠りにつくあの糸車の針である。
そして「針落とし 巻き戻る期待」
巻き戻る事を期待する状況で思いつくのは時間だろうがネタバレになるのでそれ以上は述べない事とする。
ところで「針落とし」でもう一つ思い浮かべた事がある。それは"レコードの針"
けいちゃんは昔のレコードプレーヤーでレコードに針を落として音楽を聴いてみた事などあるだろうか?
もしかしたらおじい様おばあ様の家で見た事があるかもしれない。
"針を落とす"というのも"巻き戻る"というのもレコードそして音楽を思わせる言葉である。
直接の歌詞の意味としては関係ないかもしれないがもしこんな所にもけいちゃんの遊び心が入っているのだとしたら面白いと思った。
【ペコパンの苦悩そして…】
また抽象的な表現が出てきた。
「最初から前など見えない」
"前に進めんだ"でも表される"前"という言葉。
未来や将来という意味で使われていると思う。
となると"最初から未来など見えない(見えていなかった)"という事になるか。
ここは少し手前から一気に先の歌詞までをひとまとまりで考えたい。
「針落とし 巻き戻る期待」
「最初から前など見えない」
「もうどうなったっていい」
「そのままの君がいればいい」
これは全て映画の中の一場面においてペコパンの心情、迷い、葛藤、決断までを表していると思う。ペコパンは迷った挙げ句それでも"そのままの君がいればいい"という結論に至った。
これ以上具体的に述べる事は出来ないがペコパンの決断には拍手を送りたい気持ちでいっぱいだ。
【再登場のアニキと悪魔】
お忘れだろうか?
歌舞伎町の裏路地に居たアニキと手下の悪魔を。
この2人のやり取りはまだ続いていたようである。
いつでも唐突に登場する悪魔さんの歌詞がこう。
(以下「」内の太文字が歌詞の部分)
「踊れや悪魔
気取ったりしな」
アニキ:操られ踊るのも様になってきたじゃねぇか
気取ってカッコつけちゃったりしちゃってみな!
「苦味さえも従順なって
キラキラよ」
悪魔:ア、アニキ…ぶっちゃけ最初苦々しく思ってたんスが従順にやってみたら何だかキラキラしてきたっス!
「歌えや悪魔
騒いでこうか」
アニキ:そうだろぉ?歌も歌ってみな?
騒いでにぎやかにいこーぜ!
悪魔:ア、アニキぃ〜楽しいッス!
当初はどうなる事かとハラハラした歌舞伎町の裏路地の悪魔的状況であるが、それすらもキラキラな音楽の楽しさに変えてしまったのはけいちゃんマジックとしか言いようがない。
【Vol.10おわり】
【Vol.10後記】
今回一気にだいぶ先の歌詞まで進みました。
アニキと手下の悪魔については1回目
「踊れや悪魔」の歌詞を歌舞伎町の裏路地で展開させた時からまたこの2人がドタバタするという設定に決めていました。
無茶ぶり過ぎなアニキ、オタオタしながらも乗せられていく悪魔。なかなかお気に入りのキャラ達となりました。
【つづく】