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三浦春馬、とこしえの魂

彼が旅立ってから、私の中で自分でも理解しがたいような感情が渦巻いている。

それまで私は彼のファンというわけではなかったし、外見だけでいうと、春馬くんと岡田将生くんの見分けもちゃんとついていないような門外漢だった。
初めて”三浦春馬”という存在をはっきりと認識したのは、「世界はほしいモノにあふれてる」なのだった。
それまで名前と顔がぼんやりと浮かぶ程度だったのが、この番組でMCをつとめている彼を見た時、”いつの間にこんなに大人の色気のある男性になっていたのか…!?”と、驚いた。
JUJUさんとの掛け合いも楽しく、とても温かく和やかな雰囲気で、春馬くんの優しさや好奇心、お茶目でチャーミングな人柄があふれていた。

なんというのだろう、春馬くんには、ただ端正で綺麗なだけではない、なんとも言えない憂いを纏った表情と透明感、あらゆる感情を含んだ繊細な佇まいがある。
その印象は、むさぼるように見始めたドラマ、映画、舞台の中でも一貫していて、まばゆいばかりの光を放って私を捕らえた。そして出演作にはなぜか生と死が根底に感じられる役がとても多かった。

君に届け」の風早くん、「サムライハイスクール」の小太郎、「ブラッディ・マンデイ」の藤丸、「ラスト♡シンデレラ」の広斗、「真夜中の五分前」の良、「僕のいた時間」の拓人、「東京公園」の広司、「星の大地に降る涙」のシャチ、「海盗セブン」のワイルドアッパー、「ZIPANG PUNK~五右衛門ロック III」の明智心九郎、「わたしを離さないで」の友彦、「銀魂2」の伊東鴨太郎、「tourist ツーリスト」の天久真、「ダイイング・アイ」の雨村慎介、「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の佐藤、「罪と罰」のラスコリニコフ、「Two weeks」の結城大地、「コンフィデンスマンJP」のジェシー、「キンキーブーツ」のローラ、などなど。
こんなにも魅力的で素晴らしい俳優を、皮肉にもその死後に深く知るようになったことを心底悔やんだ。

毎日、彼の出演した作品を見たり、プロも舌を巻くほどの力量と表現力のある歌声とダンス、その類いまれなる才能と弛まぬ努力に感嘆し涙し、インタビューや出演したバラエティまでチェックして、その真摯で時に愛すべき姿に、微笑ましい気持ちになると同時に切なく、30歳という若さで人生を終えなければならなかった運命に悲しさがこみ上げてくる。

死の直前までの彼の言動を見る限り、未来しか見ていなかったし、30代をいかに過ごすかという展望しか感じられない。なにも起こらなければ、強い意思とその才能を持ってして必ず世界へと羽ばたいていたことだろう。それが悔しい。
"本当に彼は自死だったのだろうか…"という疑念がどうしても湧いてきてしまう。

あんなに美しかった彼の肉体は、もうこの世には存在しない。
だけれどその魂はいったい何処へ…。想いを馳せる度に涙がとまらない。

たった数ヶ月で、私は完全に彼の虜になり、大ファンになってしまったようだ。

彼の死後、私と似たような状態の人、新しくファンになった人々も恐らくたくさんいると思う。
そしてこれからもどんどん増えていって、彼に魅了された集合意識のようなものは、互いに共鳴しながら波紋のように広がってゆき、”三浦春馬”という表現者が忘れられることはないだろう。

永遠にその作品と共に愛され続けてゆくと確信している。




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森野 しゑに
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