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三浦春馬 映画「君に届け」〜初恋の面影

風早くんを想うとき、心の隅っこが微かにうずく。
風早くんは、爽やかと笑顔と優しさから出来ている。

大切な宝物みたいにそっとずっと胸の奥に仕舞ってあるような、誰しもの心の中にいる初恋の人の面影を形にしたら、風早くんになるんじゃないかと思うほど、春馬くん演じる風早くんは、初恋の男の子を象徴するかのような存在だ。



普段学園ラブストーリーなどは自分とあまりにも世代差があるため観ないし、この作品も春馬くん見たさに鑑賞したけれど、予想以上に良くて入り込んで観てしまった。王道を行くような青春物語かと思って見始めたら、まず多部ちゃん演じる爽子ちゃんのキャラ設定が一風変わっていて笑ってしまった。貞子って…。

体育館で他の男子と親しげに話す爽子ちゃんの前に風早くんが現れ、
手を引いて外に連れ出し、
“ごめん、我慢できなかった”
なんて、もうキュンキュンが止まらないよ、風早くん!
なんだろう…この二人の穢れなき透明感は…。
よき、よき、よき!
まるで「キャンディ♡キャンディ」のアンソニーとキャンディみたいだよ。例えが古くてごめんなさいね…アラフィフのおばちゃんなもんで。そんな、おばちゃんの心まで乙女にする風早くん。

この作品を観た多くの人は、自分の懐かしい高校生時代を思い起こしたりするのだろうか。

いいなぁ共学は。クラスに男子がいるって、やっぱりいいよなぁーー。…。
そう、私は女子校出身だ。私にはこんな甘酸っぱい思い出なんて現実には全くない。そこは教室のどこを見廻しても女子だらけの女の園。異世界なのだ。
学校内で誰と誰が付き合ってるらしいとか、誰がフラれたとか、憧れの先輩とか、そんな甘酸っぱい恋模様なんて女子校の中では幻なのだ。あ、学校中の女生徒が憧れる宝塚スターのような男前の女の先輩はいましたがね…。

体育祭で好きな男子を影ながら応援したり、好きなクラスメイトとさりげなくハイタッチしたり、学園祭でクラスの男子と女子が協力して出し物を作るとか、その過程でカップル誕生とか、ああぁ羨ましい。これぞ青春ってもんだよなぁ。いいなぁいいなぁ。…ため息。

そして私は、風早くんと爽子ちゃんを中心とした千鶴とあやねと龍の間に芽生える、男女を超えた友情や仲間という関係にも憧れてしまう。学校の帰りにみんなでラーメン食べに行ったりワイワイ楽しそうだ。それぞれの心の内ではいろんな恋心が交差しているけれど、それも含めて男女のグループっていいよなぁと思う。

女子校からいきなり大学で共学になった私は、男子とどう接していいか分からず、男女分け隔てなくフレンドリーで、くだけた付き合いの出来る女子が羨ましくて仕方なかった。
もしも風早くんみたいにカッコ良くて人気者で爽やかな男子がいても、私は顔なんて直視できないし口もきけずに物陰からジトーーッと陰気に見つめてるタイプだ。暗い…。って、これって爽子ちゃんじゃないか?
わかるよ…わかる…。私もそっち側の人間だから!
自分に自信が持てなくていつもうつむいてしまう、だからますます根暗な子と思われる…。なんだか爽子ちゃんに感情移入して見てしまう自分がいる。

風早くんが自分を好いてくれているなんて、夢にも思わない爽子ちゃん。
なかなか自分の想いが伝わらず、もどかしい風早くん。
そんなすれ違いも青春の切なさと輝きになる。

"いいよ、ゆっくりで" という風早くん。
風早くんと爽子ちゃんが純粋で尊くて、涙が出る…。

この作品の撮影時、春馬くんは20歳、多部ちゃんは21歳。二人とも高校生役に違和感がない。この後、4年ごとに共演することとなる永遠のオリンピック・カップルだ。
30代も40代も50代も60代も、恋人、夫婦、同志、昔の恋人、老後の茶飲み友達、なんでもいいからこの二人をずっとずっと見続けたかった…。



サラサラの髪を風になびかせ自転車を漕ぐ風早くん
爽子ちゃんの髪に舞い落ちた桜の花びらを手に取り笑う三日月の目
愛おしそうに爽子ちゃんを見つめる優しいまなざし

風早くん、きみの姿を永遠にこの目に焼き付けるよ。

春馬くん、あなたは作品の中で生き続けているよ。
ずっと、ずっと。永遠に。


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