開放的すぎる夏の民

すでに吹く風も涼しく、勢いを失った太陽の光は、明らかに季節の移ろいを感じさせる今日この頃。そろそろ夏も終盤となってまいりました…。
ほんとこの国の夏は短い。
え…？夏、もう終わり？短すぎる…。
毎年言ってるけどネ。嘆かずにはいられない短さなんですよ。正味2ヶ月もないですから。一年の半分以上は冬ですから…。
日本に住んでいた時は暑くて汗が吹き出てジメっとした夏が大嫌いでした。それなのに、今はなるべく長く夏を味わいたいのですよ。人って勝手ですね。

この国に住んでから今までいろいろと驚かされる出来事はあったけれど、過ぎゆく夏を惜しみながら、夏になると表れる風物詩？現象？について今日はご紹介しようと思います 笑。

この国は真夏でも気温20度前後で湿度も低く比較的過ごしやすい気候。
我慢出来ないほどバカに暑い！という気温には滅多にならないというのに、夏になると上半身裸で、そこら中を闊歩したり自転車や電動キックボードやらに乗る男達を目にするようになる。老いも若きもだ。
アパートメントの中庭などでバッタリ会うと、平然と半裸のまま、こんにちは！と挨拶してくる住人の男性たち…。毎回目のやり場に困る。
やっぱり冬が長く厳しいと、夏の間に少しでも太陽の光を浴びたい！という欲求が強く、このような姿になるのかもしれない。
カフェなどでもどんなに直射日光がキツかろうと、外のテーブルから埋まってゆき屋内のテーブルはガラガラだったりする。
そしてこの国の民は何処ででもすぐ日光浴をする。公園に限らず少しでも適した場所があればすぐに寝っ転がる。海に打ち上げられたアザラシのごとく半裸状態で仰向けに横たわったり、亀のように甲羅干ししている人々がそこかしこに、居る。

しかもどうもこの国の特に男達は、半裸どころか真っ裸になるのも抵抗がない人が多いようなのだ。
それはサウナ文化の影響もあると思う。サウナには男女ともに基本的には何も纏わずに入る（公共サウナでは水着着用の所もあるが、ホテル内などでも男女は分かれているけど基本マッパ、たまに男女混サウナの所もある）。
家にサウナが付いてるのも一般的だが、夏になると街中にも簡易サウナが設置され、街角でサウナ上がりに腰にタオル巻いただけで、裸でビール飲んでる男達もいる。
海沿いにはサウナ・カフェもある。お茶してサウナにも入れて、そのまま海に飛び込んで泳げる。湖や海では煙突から煙を上げながら移動式のサウナボートまで走っていて、ヨットやクルーザーでちょっと立ち寄ってサウナできる。
いつでも何処でもサウナに入れるということはとても重要なようなのだ。
国民数の約3分の2に相当する数のサウナが国内には存在するという。
この国ではサウナに入る事をサウナする、と動詞で言う。

夏になると冬とは一変して開放的になる輩が多く、裸で湖や海で泳ぐ人もいる。
近所の海辺でも、朝散歩していると、ひと泳ぎしてしれっと海から全裸で上がってくる人がいたりして、ギョッとする。バスローブを羽織ると目の前を何食わぬ顔で去ってゆく。いや、家の風呂じゃないんだからね…。
確かに私もサウナ小屋からそのまま真っ裸でドボーンッと湖に飛び込んで泳いだりするのは、原始に還ったようで気分爽快だけど、でもそれは自分のサマーハウスでとか、夜の闇に紛れてとか、周りに誰もいない時だけだ。
因みに、街にはヌーディストビーチもある。
夏至祭の前夜には、酒を飲んで酔ったまま湖や海に飛び込む輩が後を絶たず、毎年死者まで出るため、ニュースでもハメを外しすぎないよう注意を呼びかける程だ…。危険と隣り合わせの開放感もどうかと思う。

他にも驚くのは、夏になると大人も子供も裸足でそこら辺を歩きまわる人たちがいることだ。
芝生の上を裸足で歩くと夏を感じられて気持ちいいから！というのは、何となく分かる気もするが、普通のアスファルトの道の上も裸足でペタペタ歩いている人々がいる…。
森の中でも裸足またはビーサンで歩いている人々が…。落ちてる小枝とか踏んで痛くないのだろうか。どうしてそんなにワイルドなの…？と、思ってしまう。

この国の民の一人である夫はというと、恥ずかしがり屋で控えめな性格のせいか、上記のような事は一切しない。

よかった…。

しかし、家の中では別だ。

暑い、暑い、と言いながら、夏は一日中パンツ一丁で家の中をウロウロしている…。
ベランダにもパンツ一丁で出る。
配達の人が来ても、パンツ一丁で出る…。
パンツ一丁で腹踊りしてみせたりする…。
最近メタボが加速している…。
こういうタイプも内弁慶というのだろうか。

やっぱり夫にも、間違いなくこの国の民のDNAは流れているようだ。

夏よ、サヨウナラ… 😭