大人の学校
先月から10年ぶりくらいに学校へ通っている。
思い返せば私は、10代、20代は元より30代でもデジタル・デザインの学校に入り直したり、この国へ移住後の40代でも語学学校、起業のためのコースなど、ほぼ10年おきに学校へ通っていることになる。
べつに学校が特別好きというわけではないが、必要に駆られてだった。
パンデミック以来、これまでの仕事が厳しい局面に入っていることもあり、私は今、とある資格を取るために学んでいる。
まさか50にして、また学校に入ることになろうとは…
今通っている学校のクラスメイトは、思っていたよりも年齢層が高く、自分と同年代くらいと思われる人もチラホラといる。
この国では何歳になっても学びなおすことは珍しくなく、何度学校へ入っても公的な補助があるコースの学費は無料だ。
それはとても有難いことだが裏を返せば、パートタイムで働くのでさえも、希望分野に関連のあるこの国での学歴または同じ職種での経験が求められるため、移住者はそう簡単には職を得られないという側面もあり、実は学歴社会だったりもする。
それまでの母国での学歴・職歴は、ほぼ考慮されない(泣)
この国での学歴というのも、日本で言うところの有名大学を出るというようなことよりも、資格だったりインターンシップでの経験が重視される。数ヶ月のインターンシップは必須で、行かなかったら単位が取れず卒業もできない。
授業はこの国の言語のみで行われており、生徒の大半はこの国の民であるため、教師もネイティブへ話すスピードで授業をガンガン進めてゆくので、ちょっ待てよ!今なんて言ってた!?となる事も多々で、そんな時は教師のパソコン画面が映し出されているプロジェクター画面をスマホのカメラで撮らせてもらっている。書き写す時間なんてないため、こうすると家に帰ってから見返し理解する助けになっている。
教師からも注意されるどころか、しゑに!ナイスアイディア!と褒められた(笑)
この国の民は息を吸いながら話すという特殊能力があり、やたら長い単語を息継ぎなしで早口言葉のように話す(驚)全くよくそんなに口が回るもんだ。
今までは家で仕事をしていた事もあり、パンデミック後は特に、仕事相手とのやり取りもメールやショートメッセージなどで、直接話したり会う機会もほぼなく、この国の社会との接点も少なくなっていた。
だから久々に、毎日対面で、母語ではない言語を大量に、読み・聞き・話していると、脳がフル回転してるため頭の疲れがハンパなく…家に帰り着くと燃料切れになり、白目を剥いてベッドにバタンと倒れ込む日々…(苦笑)
夫や息子もネイティブではあるけれど、家族に対してはかなりテキトーに話してもそれなりに通じてしまう為、ある一定の所から上達が止まり、それどころか徐々に後退していた状況に、喝を入れられた気もする(苦笑)
こちらの学校では授業中もかなり自由で、突然立ち上がったり、椅子の上であぐらをかいてる人がいたり(笑)ちゃんと話を聞いてればどんな姿勢でも可。
教師も冗談を混えつつ、皆リラックスして聞いて!はい!ちょっと今ストレッチ体操しよう!などと言い出すし、歯医者に行くなど個人的用事で途中で退席してもOK(驚)
1クラス10人前後と少人数で、教師は2人体制。毎回授業を始める前に、色々なフェイスマークで今日の自分の気持ちや状態をそれぞれ示したり、沢山の玩具のフィギュアの中から自分のキャラクターに合うものを選び理由を話したり、とディスカッションがある。
一見、授業とは関係ない事のように見えるが、これは生徒のメンタルヘルスを把握し、脱落者を出さないための工夫なのかもしれない。
日本とはだいぶ違う授業風景も興味深い。
他にも特徴的なのは、かなりの割合でeラーニング(ICT)が行われている点。
授業でも、はい今からこれ調べて!と教師から声がかかると、教室にある貸出用ノートパソコンから学校のWebシステムにログインし、そこに格納されているデジタルファイルや動画を検索し各自またはグループを組んで調べ答えを見つける。家での課題をする際もこのWebシステムを使うことが推奨されている。
外国人の生徒は講義中にわからない単語があったら、各自スマホで翻訳アプリなどを使ってもよい。
他にも面白かったのは、アプリを使い、バーチャル空間で教師からの出題に自分のアバターで回答するなど、ゲーム感覚での授業の進め方もあったり。
授業スケジュールや使用教室の場所など教師からの連絡事項や質問もWhatsApp(ヨーロッパで主流のメッセージアプリ)のグループチャット上か、国内の全学校で使われている電子連絡帳で知らされるので、授業中も随時そちらを見ることになる。
昔みたいな板書のようなものは一切なく、授業中もスマホ又はPC使用は必須だ。
おかげで最近は、眼精疲労も酷い…授業が終わる頃には目が霞んでいる。
私は仕事的にも長時間PC画面を見る生活を長年していた割に、ずっと視力は良かったのだが、今は我が人生で初めてメガネをかけている。
昨年の一時帰国の際、老眼鏡を作りに行ったところ、私の場合は普通に近視になっていて、老眼鏡は必要なく、近距離は裸眼が一番良く見えている状態ですと言われた(謎)
クラスメイトでメガネをかけている人の多くは老眼鏡のようで、手元を見る時に皆んな一斉にメガネをかけるのだが、その時私はメガネを外し、離れたプロジェクター画面を見る時に掛けるという逆の動きをしている(苦笑)
いちいちメガネを掛けたり外したりが面倒…近視のメガネを掛けてる方々は、手元もある程度見えてるのでしょうか?メガネ初心者のため、度の調整についてもどれくらいが良いのかよく分からない。
他にも、学校銃撃事件が何年かおきに起きているため、校内のセキュリティも以前より厳しくなった。教室は授業時間外はドアがロックされ生徒は全員外に出されるし、廊下にも所々にドアが設けられ、生徒一人一人に渡されているタグ式のICキーをかざさないと通り抜け出来ないようになっている。
キーには識別番号が内臓されており、生徒が校内の何処を歩き回っているか警備室から分かるようになっていて、教室内にも監視カメラが付いている。
こういう面はあまり穏やかじゃないが、何か起きた時のための安全策なので致し方ない。
とまあ、変化の激しい日々だけど、各国出身のクラスメイトと話したりするのは楽しいし、年齢層が高めのせいかクラスメイトも落ち着いていて、授業にも集中出来る。クラスの雰囲気も和気藹々としていて良い感じ。
ただ、こんな短期間でも徐々に、日本語で書こうとすると単語がすぐに出てこなかったり、文章も纏まりにくくなってきている…加齢のせいなのか…
頭の中で二言語の切り替えがスムーズにゆかなくなっているのかもしれない…。
同時通訳の人などは、頭の中がどうなっているのだろうか…。
今は座学が中心だけど、数ヶ月後にはインターンシップも始まるので更に心身ともに疲れがピークに達しそう…。
そんなわけで、このところ忙しい事もあり、当分の間noteの記事を書いたり読んだり、コメントもスローペースになるかと思いますが、noteは続けてゆきたいと思っているので、これからもよろしくお願いします!