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第15話「悠々として急げ」

とうとう60歳を迎えることができた。

一緒に生きてくれたみなさんに素直に感謝したい。
生かされていることに感謝したい。

2度の癌の手術を受けている僕にとっては、
60歳まで生き延びることが一つの目標であった。

しかし、60歳になっても自分は何者なのか?
何のために生きるのか?
という迷宮から抜け出しそうもなく、
悟りの心境にはほど遠い。

今死んでも面白くていい人生だったなとは言えそうだし、
いつかその時が来る時でも同様な思いを持つことが
できるだろうとは思うのだけど、
悟りや解脱とは違って
何のために生きるかを追い求める欲望は
消えそうもない。 

60歳までを生きることができたから、
これからは、余生である。

新たな人生であり、
生まれ変わる必要がある。

大学を卒業するまでが「第一の人生」
会社に入って仕事を中心とした生活が「第二の人生」
会社を辞めて60歳まで生き延びるのが「第三の人生」
…であれば、これからは「第四の人生」であるが、
何をやったら良いかが見えないので、
通常はまだ働くのであろうけれど、
そこに抗いたい。

抗うと言っても、
単にゴルフや旅行や趣味の世界では、
普通である。
そこで、悩むのである。

そして、行き着いたのが、
「素直にやりたいと思うことを思いっきりやる」
であるが、
元々「天の邪鬼」なので、
この素直にと言う言葉が意味することが、
より一層頑固に拘って生きるということになる。
「素直な頑固爺」を目指して生きたい。

多くの人に慕われて笑顔の良い好々爺よりも、
ますます自分で自分を縛って、
縁側に一人座って思索を深めて、
小さくなって、最期は小さな意志の塊?
石の塊のようになって死にたい。

それまで、顔を上げ胸を張り
荒野を悠々と急いで進んで行きたい。

さてさて、森の黒ひげ塾の塾生は、
何とめんどくさい漢を師と仰いだものか?
いつまで付き合ってくれるものか?

そんなことを、生まれ変わる瞬間に考えたのである。 


追伸:
次は64歳まで生きる続けることを
目標にしたいと思っています。
その頃には、髪はハゲて、足腰も弱って、
視力も落ちてしまうだろうけど。

それでも、来月には日本山岳耐久レース、
年末には伊豆トレイルジャーニー、
そしてエジプトにも旅してくるつもり。

結局、足掻き続けるのかも知れない。


森の黒ひげ塾
塾長 早川 典重



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