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そのデザイン、お任せじゃないです
会社員デザイナー10年、フリーランス3年目のしのこです。
ShIn-Designという屋号で3年ほど、個人事業主として活動しています。
クライアントからヒアリングをすると結構な確率で、「いい感じにして欲しい」と言われることがあります。
表ではニコニコ「そうなんですかー!」と聞きますが、裏では
(そんな漠然と言われても困るわーーー!)
と思っちゃうことありませんか?
今日はそんなご要望の紐解き方について。
結論:大丈夫!
そもそも「あなたの思った通りのいい感じ」にお任せされていません。
答えは会話の中に
デザイン依頼をされる時、大きく分けて2パターンであることが多いです。
頭の中に明確な想像図がある場合
たとえば、すでに運用しているクリエイティブをベースに相談されているなど
正解らしきイメージが可視化されていたり、クライアントの正誤ジャッジが明確だったりするので、デザイナーはオペレーターになりがち。頭の中でぼんやりとも想像図がない場合
クライアントはこの時、かなり不安だったりします。「何を完成として伝えたらいいのかわからない」「オーダーしたデザインで自信が満足できるものを作ってもらえるか不安」だからです。
デザイナーはこの時、ただクリエイティブを提出するところだけを考えていてはダメです。
イメージがなくてもできるミーティングの準備と対策
2番目の場合、ヒアリングもスムーズに進まない場合もあります。
クライアントもなかなか参考や完成図、描きたいイメージの言語化ができていません。
こんな時、デザイナーは事前にどこまで準備ができるか、またミーティングの場でどれだけ言葉を取りこぼさないかがミーティングの質を左右します。
クライアントの「明確な反応」を引き出す
「こんなデザインが良いですか?」と聞いてしまうと「ドンピシャなテイスト」以外にクライアントはあまりいい反応を示してくれません。
漠然と「こうじゃないんだよなぁ」と自分の中にある答えを模索してしまい、回答のハードルを上げてしまうからです。
ただ、「目に見えない(クライアント自身も見えていなあ)正解」を探すよりも、「少なくともこうではない不正解」を探していく方がずっとやりやすかったりします。
わたしはもし事前にわかっていたら、「競合」「競合に近いテイストの他業種」「競合のテイスト違い」「他業種かつテイスト違い」などのサイトを集めたポジショニングマップを作成します。
ポイントなのは、このポジショニングマップを使って「クライアントがこぼす言葉」を収集すること。あくまでそこでは「不正解の共有、可視化」をどこまで行えるかです。
(これはあくまでテイストのみのヒアリング手法です)
「あぁ、この感じは違うんだよねー」
「うちと違う業種だけど、この雰囲気はいいなぁ」
「こんなデザイン嫌いじゃないかも」
「このサイト、悪くないけどもうちょっと可愛さを抑えてほしい感じかなぁ」
それぞれの感想のように見えますが、ひとつひとつを紐解き情報として紐付けでいくと「少なくともこのテイストや方向性ではない」指針が見えてきます。
その方向性を言語化しミーティング中に提言することができれば「自分は何が嫌なのか」をクライアント自身も理解することができます。
せっかくクオリティの高いデザインを提案したとしても、クライアントも自身が「何を求めているのか」「何を求めていなかったのか」の判断軸を持てていないと、結果的に「んーなんか違うんだよね」というフィードバックが返ってきてしまいます。
なんか違う、何かが足りない。
それらは全て言語化し、共有することができます。
デザインでクライアントにとっての「最適解」をお出しできることはなかなかありません。
限られた予算やスケジュールの中でどこまでスムーズにクライアントを納得させ、かつより良いクリエイティブを提供できるか。
デザインをお任せされた場合、こういったスキルも活用しながらデザインを進められたら良いかなと思っています。