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【富山時間.jp】第1回 北前船の時代に思いを馳せる富山の名所「旧馬場家」
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富山市岩瀬地区に佇む「旧馬場家」は、かつて日本海を往来した北前船の面影を色濃く残す、貴重な史跡です。江戸時代から明治にかけて、北前船は単なる物資の運搬にとどまらず、各地の文化を運ぶ役割を果たしてきました。
旧馬場家の広大な敷地に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのが「トオリニワ」と呼ばれる長さ30メートルの物資の行き来した通路です。かつてはここを通り、北前船から米や塩、魚介類などが搬入されていたそうです。この通路の突き当たりにある白壁の西門は、昭和初期まで神通川に面していて、当時は荷揚げの北前船の姿が望めたとのことです。
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玄関近くの「オイ」という33畳の広間に足を運びますと、天井から伸びる太く丈夫な梁に圧倒されるます。この梁は、荒波を切り裂いて航海する北前船に宿る強さを想起させます。一方、広間の床には半畳が所々敷き詰められており、これは主人の「商売繁盛を願う」心意気を表したものだとのことです。なるほど!縁起担ぎですね。
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外から見えづらいガラス戸の「チャノマ」には、馬場家の主婦・馬場はるの姿が浮かび上がります。15歳で嫁入りしたはるでしたが、1919年に夫を亡くすと一人で家を切り盛りすることになりました。そしてはるは、夫の遺志を継ぎ、後に富山大学の前身校である旧制富山高等学校の設立資金として、当時の金額で10億円から20億円相当の巨費を寄付したのだそうです。馬場家の財力の源泉が、まさに北前船の隆盛にあったことがうかがえます。
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さらに敷地を進めますと、敷地奥の白壁の旧米蔵は、2020年にクラフトビール醸造所「KOBO Brewery」として生まれ変わりました。中央に鎮座する銀色の醸造器から、チェコ出身の経験豊富な醸造家が手がけるクラフトビールが生まれています。麦芽、ホップ、酵母、水の4つの素材だけで醸し出されるビールは、シンプルだが個性的で、昔ながらの北前船文化と現代の新しい文化が出会った味わいです。
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このように旧馬場家では、かつての北前船の賑わいを偲ばせる風情が随所に息づく一方、現代の新しい文化も取り入れられています。時代を超えて受け継がれた伝統と革新的な面が見事に融合し、江戸時代から現代へと太く伝わる文化の脈動を肌で感じられます。
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日本海を往来した北前船の時代に想いを馳せながら、富山の今を体感できる、私的に特にオススメできる観光スポットです。旧馬場家を訪れる際には、ぜひその歴史的価値と新旧の文化が融合する様子を堪能してください。江戸時代から脈々と受け継がれてきた伝統の上に、革新的な息吹が吹き込まれた、まさに日本文化をさらに進化させる場所の一つだと思います。
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