【ミャンマークーデター】<連載2>軍事政権下での生活〜教育編〜
本日は、軍事政権下での生活について
ミャンマー人にインタビューした内容を書きます。
「軍事政権下の教育」について。
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ミャンマーでは、
小学校5年間、
中学校4年間、
高等学校2年間で、
小学校から高校まで計11年間通います。
義務教育はなく、生活困難によリ、
学校に通えない子供も多くいます。
高校卒業後、大学に進学する際は、
日本のように学生が自由に大学や学部を選択できず、
高校の成績で決められてしまう教育制度です。
具体的には、高校3年時に、
全国一斉テストを受験します。
そのテストの点数によって
入れる大学が決まるのです。
例えば、私が医学部を志望していたら、
上位の点数でなければ入ることができません。
もし点数が医学部に足りなかったら入れる大学の学部に入るしかありません。
医学部や外国語大学は点数が高くないと入れませんが、
逆に化学部や文学部などはあまり人気もないので点数が高くなくても入れます。
良い大学や、良い学部に行くには点数を伸ばすしかなく、
行きたい学部によって大学を決めるというよりも、
点数によって大学が決められる、
というような大学の教育制度です。
高校のテストの点数が自分の将来を決めてしまう
と言っても過言ではありません。
高校の成績が良くなれば、良い大学に入れるのです。
そのため、賄賂を払って、自分の子供の成績不正を依頼する親もいれば、それを受け取る先生もいます。
権力と金を使って、不正して良い大学に入る学生もいれば、
もちろん真面目に勉強して実力で頑張った学生もいます。
私の経験から言うと、一部の先生は、自分の塾に通わせる狙いで、学校で授業をちゃんと教えないということもありました。
塾に通う学生のみが試験問題を教えられ、
合格または成績優秀者に選ばれたこともあります。
教員を含む公務員の場合、給与水準が低く、
生活が困難のため、サイドビジネスとして、多くの先生が塾を開いるのです。
塾に通うどころか、生活困難により、学校に通えない子供もたくさんいる中、
一方で、軍上層部の子供は海外に留学したり、優雅な生活を送ったりしています。
軍事政権下では、上記のようなことが、当たり前のように起きて、それら学力及び教育の格差を発生させた要因の一つだと、私は考えています。
2016年以降の民主化後、ミャンマーの教育制度の改革を進めている最中に今回のクーデターが発生しました。
日本や世界に比較すると、ミャンマーの教育制度はまだまだ未発達です。しかし、民政移管してから教育制度やカリキュラム、思想などが変わろうとしている最中でした。
軍事政権下では、自由な発言はできず、先生が間違っているとわかっていても、その答えを暗記してテストをするしかありませんでした。
民政移管後は、自由な発言や表現が認められ、ディスカッションをする機会も増えました。先生に意見を言っても良いということも知りました。
2020年はコロナの影響で、ミャンマーの学生は学校に通えませんでした。
今もクーデターで学校が再開できる状況ではなく、大学はほとんど休講、
小中学校の通学率は10%ほどしかありません。
このままでは学校に通えないどころか、また暗黒の教育の時代に戻り、自由な発言もできなくなります。ただの暗記の授業ばかりで、勉強もつまらなくなります。
ミャンマーの子供たちが一日も早く安心して楽しく教育を受けられる日が来ることを願うばかりです。
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今回は、軍政時代の教育について紹介させていただきました。
今も大学は開講しましたが誰も大学には通っていません。
先生のCDM(不服従運動)はもちろん、生徒にとっても軍政の教育は受けたくない、という面もあります。
さらに、最近多発している爆弾などの影響もあるので
現実的に、「学校に登校させられない」という地域もあります。
写真のように、銃を持った兵士が学校にいる姿も通常とは思えません・・・・。
コロナの影響も重なって学校も既に丸1年間休校。。
経済にとっても、今後の国づくりにとっても、
教育の遅れは悪循環を生み出します。。
本当に早く、普通の教育の場が再開できることを祈るばかりです。
追記
今は、ほとんどの学生が学校に安全に通うこともできず、先生たちが無料で教えるボランティアのクラスが始まりました。
学年別にオンライン上での講義が7月からのスタートに向けて準備されているそうです。
「全員がオンラインで授業を受けられるわけではない」
という意見も重々承知ですが、しかしやはりオンライン活用した教育の再開はごく一部であっても応援したいと思います。