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ソッと背中を押して貰えたならば

運命の歯車というのものは突然動き始める。

全ての始まりはTwitterのスペースで毎週土曜日の22:00から開始される#バントウスペースにて、アメリカのプラモメーカーによるアメリカンカープラモという世界が存在する事を聞いてしまったのだ。
アメリカンカープラモ、今まで知らずに触れていなかった世界がそこには広がっていた。
知らない世界にはとりあえず飛び込んでみてから藻掻いてみる作法が存在するので、今回はそれに従うべく即座に通販サイトを開きカートに入れようとしたが指が止まる。

気軽に飛び込むにはちょっと勇気がいる値段がそこには提示されてしまっていた。

輸入プラモなのだからしょうがないのだが、自分自身タミヤやバンダイ等の国内メーカーの値段に慣れきってしまっていることを痛感した。

そしてもう一つの問題が発生していた。

どのアメリカンカープラモでスタートを決めればいいのだ?

「分からない。」

無数に広がる選択肢は頭を悩ませ、目が泳ぐ。

その状況に颯爽と現れたのが「ホビコレ2022プレミアム福袋 1/24・25カーモデルキット詰め合わせ」であった。

分からないのであれば相手に選んで貰えば良い。実際福袋やスーパーの見切り品コーナーとかの、相手に選んでもらってその世界を知るというのも乙なものである。

実際に届いた福袋のラインナップは「これは自分の意志ではたぶん買わない奴だな」となり得した気分であった。そしてその中に「Rat Trap VEGA」が封入されていたのである。

得した気分になったはずだが「今は別のプラモ組んでるし、時間が出来たら組もうかな…」と福袋の段ボールをそっくりそのまま積み棚の中に納めて2ヶ月の歳月が流れたある日、nippperにバントウさんの「Rat Trap VEGA」の記事が公開され、手元にはそのプラモがあることを思い出す。

その時、脳に電流が走った気がした。

「全てを放り出してでもRat Trap VEGAを今すぐ作らなければならない、このタイミングを逃したら一生作らない可能性がある」そう脳が判断してからの行動は早かった。

まさに運命の歯車が噛み合った瞬間である。

プラモを手に入れ、状況が整っても何かと理由を付け後回しにしてしまう事はある。だが、そこでソッと背中を押して貰ったのであれば、それに応えなければ失礼というもの。

私はそう思い、Rat Trap VEGAのシュリンクにカッターの刃を滑らせた。



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