動物好きの父
父は動物が好きだった。
僕が子供の頃、玄関脇の手水鉢にはいつも金魚が泳いでいた。
小さな庭には父が手作りしたウサギ小屋にアンゴラなどを飼っていた。
休みの日には縁側でジュウシマツの小屋を掃除していた。
気が向くと父はよく馬の絵を描いてくれた。
ぼくが絵を描くのが好きになったのはそんな父の影響だった。
定年後は庭に自分で池を作り、鯉を泳がせて楽しんでいた。
今の僕より遥かに人生を楽しんで生きていた父の嬉しそうな笑顔が忘れられない。
父が亡くなった歳に近づきつつある僕の顔に笑顔が見られる事はあまり無い。