初恋
中学に上がるとラジオの深夜放送を聴くようになっていた。
当時流行り始めたフォークソングに夢中になった。ギター1本で自分の感情や伝えたい事を表現している事に驚いた。
親に強請ってギターを買って貰った。コードブックを片手に夢中で練習した。すぐにギターは手放せなくなっていた。学校にもギターを持って行った。もちろん、担任にこっ酷く叱られた。
当時のフォークソングは歌詞が大事だった。活字に興味があった僕が本の虫になったのはその頃だった。そして、近所の図書館の本を片っ端から読んだ。
そして、僕は詩を書き始めた。ただ1人分かり合えた本好きの友人とお互いに自分が書いた詩を詠みあっていた。そんな僕たちは周りの同級生からは一風変わった変人と見られていた。
「空から麒麟が降ってくる」という奇妙な詩を今でも覚えている。
岡林信康の「チューリップのアップリケ」を元にした作文は社会科の教師にえらく褒められた。
授業中は本を読んでいるか詩を書いているかのどちらかだった。そんな僕に教師は意地悪をしてよく当てた。その頃は英語は得意になっていたし、数学は元々公式を使わずに解くのが好きだったので大抵答えることができた。
クラスで成績がトップだった女子に「〇〇君は授業を聞いていないのにどうして答えられるの?ズルい、、、」と言われたこともある。国語は、古今東西の古典を読んでいたので文学史も強かった。
窓際の席にいたので読書の息抜きに校庭で体育の授業を受けている女子をぼーっと見ていた。
ある時、一人の女子に目が釘付けになった。
いつのまにか、その娘の姿を探すようになっていた。学年も名前も分からなかったが放課後にバレー部の練習をしているその娘を見つけた。
バレー部に入っていた妹に学年と名前を聞いた。妹に手紙を渡してもらうよう頼んだ。
初恋だった。
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