僕の映画遍歴
1950年代から1960年代にかけて日本は映画全盛期だった。
観客動員数は毎年記録を伸ばしていた。
テレビはほとんどの家庭に普及していたが映画館で観る映画は特別だった。
正月といえば銀座や浅草に封切りの洋画を家族で観に行ったものだ。
洋画好きだった父に連れられて銀座テアトルに「ベン・ハー」や「十戒」、ディズニーのアニメを観に行って映画の虜になった。
僕の住んでいた下町にも幾つかの映画館があった。勿論封切り館ではなく時が経った映画を上映する2番館、3番館だった。
夕飯が済んでから父がよく映画に連れて行ってくれることもあった。映画館は歩いて行ける距離にあった。呑気な時代である。
中学生になるとお小遣いを貯めて1人で映画を見に行くようになっていた。「小さな恋のメロディー」「ロミオとジュリエット」などを家の近くの3番館で観た。
高校生になって観たのが「イージーライダー」だった。アメリカンニューシネマが日本に襲来したのだ。