年の瀬に聞いた娘の離婚
娘が再婚した相手は婚活サポート事業を経営する起業家だった。
サーフィンが趣味というスポーツマンで、娘が前の仕事、企業向けのフードデリバリーで働いていた時の上司だ。
料理好きの娘は生き生きして楽しそうだった。
そこを辞めて起業した彼の仕事が軌道に乗ってきた時に2人は結婚した。
もちろん彼は娘の2人の子供も快く受け入れてくれた。
むしろ「いきなり2人の子の父親になれたんですから嬉しいです。できないかもしれませんから。」と言ってくれた。
生まれて初めて専業主婦になった娘は新たな家庭を持って幸せそうだった。
毎年正月には海外で過ごすような暮らしだった。
子供達も自分の部屋を与えられ嬉しそうだった。
そんな幸せを噛み締めていた家族にやってきたのがコロナだった。
ブライダル業界は一様にコロナにやられた。
小さな会社にコロナは容赦なかった。
客数が激減したのだ。
心配はしていたが、いつの間にかホームページも削除されていた。
つい最近になって、娘が離婚していたことを知った。
今度の離婚は前回と違って、コロナのせいであることは間違いない。
詳しいことはまだ聞いていないので分からないが、ジイジは全面的に助けるよ、何でも言ってくれ、という思いだ。
夫婦は別れたら夫婦じゃなくなるけど、親子はずっと親子だよ。
頼りない老耄だけど頼ってくれ。いつでも。