お父さん、指、貸して!
長女はまだおむつが取れない3歳の頃からバレーを習っていた。
とてもお金がかかる習い事だったので大変だったが妻の夢でもあった。
勉強より身体を動かす事が好きだった娘は浮き浮きバレー教室に通った。妻は娘に勉強なんかしないで良いからバレーを頑張んなさいととても熱心に送り迎えをした。
中学生になるとバレースクールでも目立つ存在になり、センターを取る事も多くなった。
当時、家庭教師の仕事をしていた僕が夜遅く家に帰ると珍しく娘が居間のテーブルで勉強していた。
すると娘がいきなり、「お父さん、ちょっと指、貸して!」
「なんで?」
「指が足りないのよ!」
娘は算数の問題を解いていて、指で計算していたので指が足りなくなったのだ。
驚いた僕は翌日から娘に小学校の算数から特訓を始めたのだった。僕は夜が仕事だったので娘は学校を休ませた。
まずは百マス計算から始めた。