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「クリスマスイブ」と「駅」

 山下達郎の曲はシュガーベイブ時代から聴いていた。

 その後ソロになってリリースする曲はどれも聴いていて気持ちが良い曲ばかりだ。

 若い時はドライブには必ず達郎の曲ををかけていたものだ。

 ある時、達郎の曲が何も歌っていない事に気がついた。

 例えば「クリスマスイブ」の歌詞は、

雨は夜更け過ぎに
雪へと変わるだろう
Silent night, Holy night

きっと君は来ない
ひとりきりのクリスマス・イブ
Silent night, Holy night

心深く 秘めた想い
叶えられそうもない

必ず今夜なら
言えそうな気がした
Silent night, Holy night

まだ消え残る 君への想い
夜へと降り続く

街角にはクリスマス・トゥリー
銀色のきらめき
Silent night, Holy night

雨は夜更け過ぎに
雪へと変わるだろう
Silent night, Holy night

きっと君は来ない
ひとりきりのクリスマス・イブ
Silent night, Holy night
 
「雨は夜更けすぎに雪へと変わるだろう」って、「今は雨が降っているけど寒い晩なので夜中には雪になるだろう」ってことなんだろうけど、詩を読んだだけでは僕には何も伝わってこない。だから何?って思うだけだ。

 達郎の曲はどれもそうだけど詩も曲と同じように聴いていて心地よいフレーズを散りばめただけのような気がしてならない。

 感動的な情景を切り取ってる訳でもないし、ひとりきりの刹那さや孤独を歌い上げているわけでもない。

 ただ耳触りの良いフレーズを聴き心地の良い曲に乗せただけのように思うのは僕だけか。

 確かに、アレンジも演奏も良いので何となく聴いている分には良いのだが一度その歌詞の酷さに気がつくともうダメだ。聴く気になれない。

 竹内まりやが書いた「駅」の情感あふれる詩などとは比ぶべくもないのは明らかだ。

「駅」竹内まりや
見覚えのある レインコート
黄昏の駅で 胸が震えた
はやい足どり まぎれもなく
昔愛してた あの人なのね
懐かしさの一歩手前で
こみあげる 苦い思い出に
言葉がとても見つからないわ
あなたがいなくても こうして
元気で暮らしていることを
さり気なく 告げたかったのに……

二年の時が 変えたものは
彼のまなざしと 私のこの髪
それぞれに待つ人のもとへ
戻ってゆくのね 気づきもせずに
ひとつ隣の車両に乗り
うつむく横顔 見ていたら
思わず涙 あふれてきそう
今になってあなたの気持ち
初めてわかるの 痛いほど
私だけ 愛してたことも

ラッシュの人波にのまれて
消えてゆく 後ろ姿が
やけに哀しく 心に残る
改札口を出る頃には
雨もやみかけた この街に
ありふれた夜がやって来る

 


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