読書記録65 2023年6月の本まとめ

天気に左右され気持ちが沈んだり高まったり忙しい6月。
読んだ本にもその右往左往の感じが現れていて、振り返ってちょっと笑ってしまった。
後半は元気になったのがよく分かる。


1.『あの日、選ばれなかった君へ』(2023)阿部広太郎

Twitterで流れていて気になった本。幼少期から現在まで、何かに「選ばれなかった」体験から学んだことを記している。電通に入社して人事部に配属されたが、コピーライターへの道を諦めきれず、何千通ものコピーを書き続けたり、すごいなと思う。自分だったら、まずそんなに熱く「やりたい」って思えることがないし、配属されたところで精一杯頑張って満足してしまう。

2.『「能力」の生きづらさをほぐす』(2022)勅使河原真衣

就活で当たり前に行われている「適性検査」「性格診断」は、人材開発業界の大ヒット商品だった?!「能力」は幻でしかない?!など、就活に取り込まれそうな私にぴったりな本だった。たまたま図書館で見つけてよかった。 「能力」という幻を追って、不確かな評価で右往左往する私たち。行動診断がダメだとなったら、次は性格診断と手を替え品を替え商品を開発する人材業界。さらに「能力」は「メンタルヘルス」業界とも密接な結びつきがあるという衝撃。 今のタイミングで読めてよかったと思う。

3.『何でもないことで心が疲れる人のための本』(2021)榎本博明

人と出かけると帰り道一人反省会を開催し、どっと疲れてしまうので、自己分析のために読んでみた。表題の人は、内向型と分類するらしい。具体例に「そうそう!まさに!」と思うこともあれば、「こう思うことはないかなー」など色々考えることができた。何より、内向型の強みがまさに言語化できてなかった自分の強みだったので、また一歩理解が進んだように思う。

4.『嵐の前の静けさ どくだみちゃんとふしばな4』(2020)吉本ばなな

noteに掲載されていた文章らしい。一つのエッセイに対する写真が、微妙に文章の内容とずれていて、「わかりやすさ」とか「説明」とかがない、力の抜けた感じがいいなと思った。今まで全くよしもとばななの本を読んでこなかった(『キッチン』くらい)のに、最近すごく言葉が響くようになって、積極的に読むようになった。自分の変化を感じる。

5.『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』(2022)東畑開人

ずっと読みたかった本。カウンセリングの例を物語に昇華して、心にいくつもの補助線(補助船)をひいて夜の旅を進んでいく。そういう本の構成の仕方が面白いなと思った。不幸なポジティブと幸福なポジティブ、不幸なネガティブと幸福なネガティブがあると知った。

6.『文にあたる』(2022)牟田都子

校正者が書いた本で、本屋さんでよく見かけてずっと気になっていた。校正者の葛藤、仕事のあれこれ、これまでのキャリアなどが綴られていて、とても興味が湧いた。それにしても牟田さんの仕事への謙虚さがひしひしと伝わってくる。

7.『じゃむパンの日』(2022)赤染晶子

今までに読んだことがない感覚のエッセイ。なんだろう、全編地に足つけていない感じというか、時空がふわついていて、とても不思議な読書体験。子供の頃の経験を書いている話が多いからだろうか、セピア色のちょっと怖い思い出を振り返っている気持ちになる。最後の岸本佐知子との交換日記は、岸本好きとしては必読。

8.『オタク女子が、4人で暮らしてみたら。』(2020)藤谷千明

図書館で表紙が気になって借りた本。40代周辺のオタク女子4人がルームシェアをするまでとしてみての体験がリアルに描かれている。読みやすかった。

9.『あやうく一生懸命生きるところだった』(2020)ハ・ワン

こういう「ふわっ」としたタイトルの海外本の先駆けなのではないかと思われる本。何度も本屋で見かけて、「まだ自分にはいいかな」と思っていたが、ついに気になって読んでみた。 やや文章が読みにくいけれど、中盤を超えると言葉がすっと入ってくる。 ただ、まだ仕事をしていないので、まるきり気持ちがわかることはなく、疲れた時にまた読んでみようかなと思った。


なんだか、手に取る本に自分の悩みが投影されているようで恥ずかしい。

悩んだからこそ自分との付き合い方もわかってきたし、6月後半はよく人と会って、人と話すことが楽しいなと思いはじめた自分にびっくりしている。

色々変わるものだなとひしひし。

来月はスーパー忙しい月になりそうなので、のんびり本を読み進めたい。

かしこ

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