生のライブやフェスはこの先、無くなると思いますか?
たまに大学の講義でお話する機会がありまして、先日、
学生からの質問にこのようなものがありました。
「生のライブやフェスはこの先、無くなると思いますか?」
いや、なくなるわけないですし、それ困るよね、というかその質問くるか、と思いつつ、
「自分の予想ではあと50年くらいはマトリックスの世界にならない気がしていて、少なくとも今の技術では生のライブに絶対勝てないと思うので、配信を楽しんだら是非、ライブやフェスに行ってみて下さい、全然違うので。
アーティストにとっても、ただカメラに向かって演奏するのと、お客さんが目の前で喜んだり楽しんでいるのを感じながら演奏するのとは全く違うとみんな言いますし、お客さんにとっても、音圧を身体で感じたり、隣のお客さんの興奮する姿を見たり、他のたくさんのファンがいて一緒に盛り上がる感覚はスマホの画面では到底味わうことができないので、全然別物ですよ。ほんとにライブに行ってみて欲しいです。」
と、とりあえず答えました。
コロナの数年間、中高生や大学生、専門学生たちは、先輩や友達に誘われたりしてライブやフェスにデビューする機会を失ってしまっていて、この「体感」をしていないので、これが業界や文化や人々の感覚にとんでもない影を落としているなあ、と少しだけ恐ろしさを感じました。
規制が解除されても以前のように、思うようにチケットが売れないフェスやライブの話をかなりたくさん聞きますが、「まだコロナが心配で控えています。」よりも「ライブ行ったことがないです。配信で観たことあります。」の方に潜在的な問題を感じています。
先日、アリーナクラスのライブの演出を担当させて頂きましたが、さすがSOLD OUTし、内容としてもおかげさまでとても良い感じに終えることができまして、
関係者からの報告で
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各所から「半端ないクオリティ」「コロナ以来はじめて本物のライブを見た」「〇〇のアカペラに鳥肌」「〇〇や〇〇など、そういう曲じゃないのに涙が出た」など
絶賛の言葉を多数いただきました。
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というものを頂き、とても嬉しく、手ごたえを感じながらも、あの学生の質問を思い出して、こういう変え難い体験をもっと知ってもらわなければ、と考えています。
例として、大きい規模のライブの話をすると、
アリーナやスタジアムクラスのライブって「遠くて見えない」とか「人が多すぎて苦手」という方もいると思いますが、数千人、数万人でないとつくることのできないエネルギーとか雰囲気とか景色があります。ライブハウスの、汗を感じるような距離や数百人でないと生まれない間合いや特別さもあると思いますしそれも大切なのですが、例えば、演奏が一瞬止まって、1万人が固唾をのんで見守る中でのアカペラの歌い出しとか、3万人の歓声や拍手の中からはじまる1曲目とか、これは一定以上の規模感だから成し得る特別な瞬間でしょう。
大規模だから巨大LED映像等が成立するし、広い空間だからたくさんの照明の光の動きが効果を発揮するわけで、スタジアムだから上から見下ろすアングルで大きなステージを楽しむことができるし、反対側の客席とかにもいるたくさんのファンに囲まれてパフォーマンスをするアーティストに感動することができるわけです。
こういう体感は一度はしてみないと、最初から画面越しだけだと想像するのは難しいんですよね。
フェスの場合は更に、道中、旅行のような要素もあるし、野外の特殊環境が生み出す一期一会の空や匂いや温度とか飲食の味なんかも音と一緒に記憶に残るものなので、経験してみて欲しいですね。
すごい当たり前のことしか書いてないんですが、
でもこの感覚を未体験のままきてしまった世代がいるのが現状なので、皆さん、是非ライブやフェスを未体験の世代や知り合いに勧めて欲しいのです。人生の楽しい思い出や感動体験のなかに、若い頃のライブやフェスの経験が入っていないというのは、こういう仕事をしている自分としては信じられないですし、あまり楽観視できない状況のように感じています。
ちょうど海外アーティストの来日公演のニュースが連続しているので、是非観に行ってもらいたいです。もちろん日本のアーティストのライブも。