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のの/ようこ

鼻血はまだとまらなかったけど

ののは女の子が好きなことに間違いは無かったし人を殺すのも好きだった

ようこは違う意味で男の子がすきだった

普通に何人もの男の子を経験しながらいつもようこは頭の中で「男の子になって」抱かれてる

ののは自分の「女々しさ」の中に萎えてる

女の子たちはどんなふうにとろとろとろけながらいじりあったりするのか

そういうことばっか

ようこはキャットフードの缶をあけてほじくりながら口にハコび咀嚼し

流星群が一分に何本もの尾を引くのを見た

確信という名の朝がくるまでののとようこは浅い夢を見た

ののは血が乾いてちぢれてゆくシャツのまま何度も目を覚ました

ののは今夢の中でまだ子供だ

父親と母親にライターのようなものであぶられてく

ののは段ボールの箱の中に何週間も閉じ込められて餓死寸前のとこで目覚めた

ののは残念なことに大人たちの望むように泣いたりしなかった

フェンスが揺れてるが半径2キロ以内に人の気配は無い

寝袋のジッパーをさげるとののはいつものやりかたで乳を吸いはじめる

昼間やられた痛みで体中が熱っぽく

気を紛らわすためようこは自分のくぼみの部分をおさえてさすってたとこだった

殺したのは全部で7人だ

東京からきたといってたがいくらさがしてもドラッグの類いしかもってなかった

内蔵への入り口は乾いてたり濡れてたりいつもようこはばらばらで

ののはいつも息を乱さないというか果てない

今日あったことについて静かにささやいてた

ようこは血だらけのシャツが上下するので気分よくて慰められてた

最後の一人が倒れた時の高揚した気分がよみがえる

二人のするセックスは普通じゃ考えられないほど静かでゆっくりだった

ののはようこに尽くすように動いたが乳だけは自分の好きなようにした

ようこはいつもぼんやりと空をみてたけど今日みたいな日は多分いく

「マックが食いたいなー」と耳元でいいながらののがようこに深く沈んで

沈んだまま上下にかるくゆさぶるとようこは唇をすこし湿らせて

深く息を吐きながら「いくかも」っていった

おれたちが望んだのは強烈な生ではなかったので

生き残るたびに死者たちに悪い気がしてた

そのどっちでもよさが明日を毎日呼び寄せた

無駄エネルギーみたいなものがあたしたちには欠けてた

その面で生命力という部分が秀でてた

今日レイプされてたとき感じてたかどうかをののは聞きたがった

頭と体は別のものをみてて気持ちの面はどうでもよかった

そう答えると「じゃあ濡れてるの?」

ようこは「うん」とうなずく

「ふうん」

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