シェムリアップ あちこち
103.工房の見学
絹織物などの工場見学が2箇所予定されているとMさんが言う。たしかに日本で受け取っていた予定表にそうあった。私は予め「市中お引き回しみたいに、土産物店見学とか工房の売店で軟禁されるようなことがあったら、おそらく私は不機嫌になりますから予定から外してください。」と小林さんに伝えてあったが「これは芸術的に意味がある見学だから大丈夫。」と言われて承諾していた。
工房で手作業をする職人たち。
1箇所目は絹織物銀製品石製品などの工房。入るまえにM さんに「私は申し訳ないけどひとつも買わないですよ。」と伝えた。
案内係のカンボジア女性は英語でにこやかに説明してくれた。売店まで案内して私がひとつも買わない様子を見るとしらけた顔をして立ち去った。横では中国人団体がカゴいっぱいにお土産を同じ物10個20個と買っている。
2箇所目に立ち寄ったのも絹織物の工房だ。こちらは日本人の田中さんという女性が現れて説明してくれた。「田中さん、私、もの凄く疲れていて早くホテルで休みたいんです。」「まあ、それなのにここに無理矢理連れてこられた感じですか。ごめんなさいね。じゃあ説明は数分で切り上げますね。」
田中さん
風通しのいい店舗
本物のカンボジアシルク 古来からの図柄
貝殻虫
先ほどの工房はフランス人の経営だが、田中さんの働くこちらは日本人の森本喜久男氏がカンボジアの現地の雇用と伝統工法を守りたくて始めた工房だという。
田中さんの熱意と森本さんの取組みについての話には感銘を受けた。「ポルポト以前の、カンボジアに古くから伝わる織り方で作る絹織物です。蚕も他の国のものと違う形・色・大きさなんですよ。染料も全て伝統的な、自然から取る方法を用いています。例えばこの赤紫は貝殻虫が吐き出す液体から採取します。」「カカ、カイガラムシですかい!?」実はウチの法律事務所では先月、室内の植木に大発生した貝殻虫の徹底駆除をしたばかりだったのだ。その際私は「カイガラ虫一発絶滅スプレー」を誤って吸い込んでしまい咽を痛めて、BBT芸術祭ではTレックスのGet It Onの高音コーラスが出来なくなっていた。「貝殻虫は貴重な生き物なんです。絶滅しそうだったので保護し、森本さんが買い取った伝統の森で大切に養殖し増やしています。」「そそそうなんですか。」なんだかまた悪寒がしてきた。
中国料理ビュッフェでランチタイム。私以外の客は全員中国人。ほとんど食べられるものが無かった。
食べられそうなものを取ってみたけれど。
帰り道突然の土砂降り。「Mさん、もしも遺跡を見ている途中でこの雨になったらどうするんですか?」「そのまま見ます。」「傘をさしたりしますか?」「遺跡の中は傘を持って歩くと危ないです。」「合羽がいいですか?」「そうですね。」道路は舗装されてないので、あっという間に泥水の川のようになる。ここは雨期には来ない方がいいだろう。
その後、小規模な遺跡の見学をいくつか終え、ホテルに帰った。
104.夜のパブストリート
Mさんに「夕食はついてないんですよね?」と聞いたら「はいお姉さん自分でお願いします。」との答え。「ホテルの中で食べればいいですか?このホテルは町から遠いですよね?」「はい。」以上。
どうしようか迷ったがホテルの玄関にいたトゥクトゥクを7ドルでお願いして、パブストリートに往復してもらい、屋台で焼いていた海老・烏賊・魚をパックしてもらって持ち帰ってホテルの部屋で一人で食べた。
【ビデオ】トゥクトゥクで夜の街を走る。
【ビデオ】パブストリートのシーフードレストラン
【ビデオ】パブストリートの様子
パブストリートは健全な夜の街だ。子供の姿も多い。他国の繁華街にあるようないかがわしい風俗店も見当たらない。
魚介類が悪かったのか、それに添えられていた生野菜が悪かったのか、複合的要因でいよいよ身体システムの限界に達したのか、夜中に突然お腹が痛くなった。
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