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世界一を目指すレストランを退職しました #3

2024年9月30日をもって、約2年間のエクストリームな日常に幕を閉じた。23歳の時に雇って頂き、世界中から来るお客様と一緒に働く仲間と、物凄く充実した日々を過ごすことができ感謝してもしきれない。

働いている側なのにこちらが感動させてもらうことも多く、特に印象深いことはスタンディングオベーションで終わること。お客様は決まって「Amazing」「One of the best experiences of my life」とお揃いの感想を口にする。2時間のコースを彼らはショーと呼んでいて、まさにレストランを超えたエンターテイメントだった。

そんなレストランでの2年間は激動の日々で、ここでなければ経験できないこと、ここでしか出会えない人に会うことができた。自分の人生にとってかけがえのない財産である。

この経験と学びを忘れないうちに記録しておこうと思う。

1.友人に会いに行く

「何でこんなにも世界中の富裕層が食事にくるのか。」入社前からの疑問の1つがこれだ。結論から言うとタイトルにある通り、違う国に住んでいる友人に会いに行く感覚なのである。新規のお客様もほとんどが紹介で(会員制で新規は受け付けていない)、「今度友人が日本に行くから紹介したいんだけど、○日に予約できる?」といった感じ。

何故そんなに紹介の連鎖が起こるかというと、食事に来たときにスタッフと客の垣根を超えた友達になること、そして日本で1番記憶に残る体験をすることである。自分もおかげ様で沢山の友達(お客様)と繋がることができた。イメージとしては何年も通い続けているバーで店主と仲良くなる感じだろうか。

どうやって仲良くなるかは社内で決められたやり方があるわけではなく、各々で考える。僕の場合はInstagramを交換して、たまに連絡を取り合ったりしていた。まず日本のレストランに限らずどの業界でもプライベートで繋がるなんて中々ないだろうし、珍しい経験ができた。仕事の関係だけではない、純粋に飲みに行ったりする友達ができたわけだ。

プライベートで仲良くなると、「ここのレストラン予約したいんだけど英語が通じないから変わりに予約してくれないか?」とか普通にある。逆に彼らの国へ行ったら全力でもてなしてくれる。富裕層の人ほど感謝をし、きちんとお礼をするんだなということを学んだ。

2.まるでホームパーティー

当然他のお客様と同じ空間で食事をするのだけど、BOSSはいつもこの様に言っていた。「このレストランでは、1つの家族だ」。だからお客様同士で仲良くなることもよくある。誰かが誕生日でお店からサプライズケーキを出すと、店内全員でお祝いする。もちろん初対面の人達同士でも。

海外のホームパーティーでは、どんどん知り合いを招待していって皆仲良くなる。ホームパーティーだから、提供する料理もお客様の好みによって変わる。相手がどうしたら喜んでくれるか、それを考えられる想像力がないと成り立たない。だからこそお陰様でその想像力は鍛えられた。

メニュー表を作成するにしても、物凄い時間をかける。商売として考えたらそこにかけた時間は割に合わないかもしれないが、自分達がおもてなしをするのは未来の友人だ。だからこそ「このデザインの方がいいのではないか」「この料理はメニュー表に記載せずサプライズで出した方が喜ぶのではないか」といったように準備に時間をかけた。だからこそ楽しんでもらえるし、感動を作ることができるのだと思う。

3.世界を舞台に戦う

僕のこれからについて少しだけ。
ここで世界中の富裕層と出会い、日本の魅力、日本人の魅力に逆輸入的に気づくことができた。それから、BOSSからもらった1杯の日本酒をきっかけに、日本酒で世界へ勝負しようと決めた。

なぜ日本酒なのか。それは日本の、日本人の魅力を表現できること、そして業界にはまだ伸びしろがあると感じたからだ。

これからやろうとしていることは日本酒の製造・販売に加えて、前職での経験をかけあわせたものである。世界中の人々へ感動を届ける取り組みをしていければと思う。この取り組みの経過報告をこれからnoteでしていくので、お楽しみに。



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