インドの中心で人権を叫ぶ インド仏教最高指導者の日本人と出会った話
あのガンジーの生き方に影響を与え、世界最長といわれるインド憲法をつくり、その中でカースト制度を廃止したアンベードカル博士をご存じでしょうか?アンベードカル博士は生前、仏教によって多くの人の人権を回復しました。
今、その意思をついでインドで活躍している日本人の方にインドの中心ナーグプールでお会いしてきた話を何回かに分けて書き残したいと思います。
そこには、西遊記や浦島太郎といった昔話の原点があり、玄奘三蔵がたどり着いた真のガンダーラ(と思われる場所)まで目撃してきました。
*いろいろ勉強中なので、理解不足や語弊もあるかもしれないので気づいた方はご指摘ください。
カースト制度
現在、憲法により禁止されており建前上なくなっているカースト制度ですが、実際は生活区の区別などでその制度が今も維持されています。これはヒンズー教の根幹を成すシステムだからかと思われます。
ちなみに、インド自体はヒンズー教だけでなく、イスラム教やジャイナ教など数多の宗教や人種のるつぼです。ヒンズー教はその中で一大勢力となっています。
カースト制度では一番偉いのがバラモン(司祭)、次がクシャトリヤ(貴族)、そしてバイシャ(平民)がいて一番したがスードラ(奴隷)です。
役割理論とでもいうのでしょうか、士農工商じゃないですが生まれ持って役割が決まっているのです。
家系として得意なことをみんなやれば世の中うまくいく、ということみたいです。
奴隷家系とかきっついですよね。
でもこれは奴隷というより農民とかの労働者的な位置づけです。奴隷というのは人間なので、会話もするし、取引もします。
アンタッチャブル(不可触民)
ここまでは学校でも習う話なのでみなさんご存じだったかもしれませんが、カースト制度にはもう一つ階級があるということをご存じでしょうか。
それはアンタッチャブル(不可触民:ふかしょくみん)といわれる人々です。カースト的にはダリットといいますが、みなさんの記憶に残るように英語的表現のアンタッチャブルを使います。
アンタッチャブルとはなにか、現地の人の感覚からすると穢れ(けがれ)その"もの"、人間でない"もの"、視界に入れてはいけない"もの"、汚らしい"もの"です。
具体的には、人間(ここではあえて他の人を人間と書きます)と同じ水道で水を飲んではいけない、人間に話しかけてはいけない、現在はどうかわかりませんが道路に足跡を残してはいけないなどがあります。
お尻にほうきをぶらさげて自分の足跡を消しながら歩く姿を伝承の演劇で見ました。
彼らアンタッチャブルは、我々が"雨が降ったら濡れるのはしょうがない"、"地震がきたら家が揺れるのは当たり前"、"冬は寒い"といった感覚に近い感覚で、"自分は人間ではないからしょうがない"と思っているのです。
そして周りの人間も、そういったモノがうごめいている程度にしか思っていないんだとか。。。
で、これが現在も名残として残っているんです。
カースト制度が残っている限り残るシステムなのです。
ガンジーの主張と行動
ガンジーはご存じの通り、法律家であり人権活動家です。
世界の法律もよく知っていた。
しかし、カースト制度に関してはインドに必要な制度として堅持する立場をとっていました。
インド人の人権は守りたいけど、インドを維持するにはカースト制度(アンタッチャブルを含む)が必要だということだと思います。
ガンジーの発想はカースト制度の役割は残すが、そこに上下関係はないというものです。
つまり、うんこ拾いはうんこ拾いが得意なうんこ拾い家系に生まれた者がやるのがインドのため。でもそれは尊いし偉い!という主張です。
これって差別がなくなってないともとれますよね。
そこにツッコミを入れたのが冒頭のアンベードカル博士です。
「生まれながらにして畜生のように扱われる人の気持ちがわからないのか!自分に置き換えてみろ!」みたいなことを言ったそうです。
ガンジーが中年でアンベードカル博士が青年のときです。ちなみにアンベードカル博士はアンタッチャブル出身です。
そこでガンジーのすごいところは、そのアンタッチャブルの意見を受け止めたところです。やはり彼自身は人権活動家でカースト制度が国を維持するための必要悪的なとらえ方をしていたのかもしれません。
<ハリジャン(神の子)>
ガンジーがどう受け止めたか、これはアンタッチャブルをご存じの方には有名かと思いますが、アンタッチャブルをハリジャン(神の子)と呼称しました。
そして、自らをハリジャンと呼んだのです。
そこまでされたら、誰もガンジーに対して詭弁だなどとは言えないでしょう。
実際、アンベードカル博士もその生きざまを最後には称賛していたらしいです。
ここまでカースト制度の基礎知識みたいになってしまいましたが、この前提がとても大事です。
一度区切って、次回はアンベードカル博士について書くことにします。
*日本人に出会うところは(4)くらいになりそうです。