夜の町を走る黒い影は…犬のオシッコ編 復刻版「路地裏ニャン方見聞録」
何度コピペをしても同じ場所がペーストができないエッセイがあって、他のテキストアプリに変えてもダメ。ヴェニスの続きを公開したいけど、どうやってもコピペができないという(note)以外にはペーストできるという謎現象。もういい加減に面倒になったので、別のエッセイを試してみたところちゃんとコピペできた。先人がこう言っていた。「なんでだろう〜なんでだろう、なんでだなんでだろう」ってね。
あ、今回は写真なし。よろしくどうぞ。
夜の町を走る黒い影は…
犬のオシッコ編
白壁の町並みの向こうには青い海、青い空が広がっている。道ばたでは食堂の人が魚を焼いている。黒ネコが少女と楽しそうに遊んでいた。どの風景もまるで1枚の絵画を見ているように魅力的である。
ネコがいる家庭を訪問
大西洋を望む砂浜一帯にナザレの特産品である魚の干物が、黒い服を着たおばちゃんたちによって干し台の上に並べられている。この黒い服を着た人を町でよく見かけるので、あれは一体何なのかと宿のおばちゃんに聞いてみると、未亡人、寡婦の人ということだった。仕事をしている姿がとっても絵になるので、近くへいって「写真を撮らせて」と頼んで撮らせてもらった。なんともいえない情緒あふれる風景だった。それにしても気になったのは干物である。日本のスーパーで見かける一般的なサイズではなく、めざしサイズで食べるところがなさそうというか、一口サイズのミニ干物だった。なぜこの大きさなのかは不明である。
ナザレで知り合ったトゼさん宅を訪問した。もちろん「ネコがいるから」が一番の理由だが、ポルトガルの生活を見たかったという好奇心もあったのはいうまでもない。門をくぐると編み糸のようにきれいな長い毛をなびかせたダニーというペルシャネコが出迎えてくれた。娘さんと遊んでいて、庭を走って逃げたり追っかけられたり、背中を向けると飛びかかってきたりと元気いっぱいの男の子である。たくさん遊んで疲れた後は娘さんに抱きしめられていたのだが、その姿はまるでぬいぐるみみたいでかわいらしかった。
ダニーは基本的に室内飼いだけど、首ひもをつけて町を散歩することもあるそうだ。自宅の庭なら勝手に走り回って遊ぶけど、自分から外に出ることはないというお利口さんである。
実はもう1匹ネコがいるらしかったが、ダニーとは正反対の内向的な性格で、家では隠れて寝ているだけだそうで、結局見ることができなかった。
夕方になってトゼさん宅を失礼して、見晴し台にいってみた。丘の上から見下ろす大西洋の夕焼けは美しく、ピンクとオレンジ色染められた荒波が立てる飛沫が静と動の絶妙なパランスを保ちながら打ち寄せる様は神秘的だった。
展望台周辺で
町を見渡すことができる展望台へやってきた。ユーラシア大陸の西端から眺める海は特別美しく、水平線は丸みを帯びて見えるので、地球って丸いんだなと改めて実感することができた。風景を楽しんだ後は近くの住宅地へネコ探しに向かった。
いつもながらネコはいない。でもネコを見つけたい。どうも写真が撮りたいからというよりもどんなネコがいるんだろうという好奇心の方が強いように感じる。町を歩き続けること3時間、半壊した建物の上にネコの姿を見つけることができた。「やっとみつけた」。ホッとしたのも束の間、僕が近づくと身構えるので、「チッチッチ」やら「プスプスプス」とネコの気を引いて、逃げられないようにそして近づきながら写真を撮りまくった。
どこからか出現した犬
海の近くで夕焼けを見るために砂浜へいき、その美しさに立ち尽くしていると、黒い犬がどこからか寄ってきた。「おお犬だ」なんて思っていると、どんどん近づいてきて、足下にまとわりついてきたと思ったら、こいつは突然僕の右足めがけて小便をひっかけてきた。まさかそんなことをされるなんて露程にも思っていなかったので、膝から靴まで見知らぬ犬の小便でびっしょりである。まるで何かのコントを見ているようだが、濡れているのはまぎれもない現実である。しかも用を済ませたらとっととどこかへ走り去ってしまった。あまりにも無責任である。せっかくの夕焼け観賞が台無しにされてしまい、僕は後ろ髪を引かれる思いでオレンジ色に染まった大西洋から、ズボンや靴を洗濯するために部屋に逃げ帰ったのだった。
なんだかツイてないので、こんなときくらい奮発するかと食堂へいってイカの炭焼きを食べることにした。塩味が炭のコゲ具合と絶妙なバランスで融合していて、うまかったのでおかわりしてしまった。ちなみにひとつ頼むと5匹ついてくる。店の人は僕があまりにおいしそうに食べるものだから、「ほれ、このイワシの塩焼きも食べろ」と3匹つけてくれた。これもまたほっぺたが落ちてしまいそうなくらいにおいしかった。 食事の後に食べたプリンプリン好きな僕をうなずかせるに十分な味とボリュームだった。
これからもずっと
食事を終えて終えてまた町へいき、陽が落ちるまでにできるだけナザレの風景やネコの写真を撮りまくった。太陽が大西洋の海に沈み、空や海もオレンジ色から漆黒へ変化していく頃、家々の軒先に干されている干物には目もくれず、焼いている干物を求めて子ネコを率いて夜ごはんを探して歩く親ネコの姿が微笑ましかった。
ナザレのネコたちはこれからもずっとこの町で変わることなく暮らしていくのだろう。新鮮な魚を食べて、海を眺め、日光浴を楽しむ。なんか理想的なリゾートライフをネコたちは満喫しているようである。
できるものなら、こういった土地ではネコになってしまいたい。
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猫写真家 森永健一インスタグラム
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