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ブルーモスクの傍らで眠るネコが見る夢は・・・イスタンブール トルコ Part 1
ブルーモスクの傍らで眠るネコが見る夢は・・・
イスタンブール トルコ Part 1
僕がまだ何も知らない純白イメージを連想させる高校生だった頃、確か世界史の教科書にイスタンブールのブルーモスクの写真が載っていて、僕はその写真を見て「本物を見てみたい」と思ったのを今でも鮮明に覚えている。その夢が10年近い年月を経て偶然にも叶ったのだ。
旅の理由なんてそんなもの
旅の予定にはなかったトルコに偶然にもやってきた動機は不純で、ビザ代が無料だからいってやろうだった。もちろん目的はネコの撮影で、そのついでにブルーモスクへいくんだもんねって感じである。
それにしても、トルコの貨幣単位には驚かされた。1万円を両替えしたら1200万トルコリラになったのだ。そして1泊の宿代がユースホステルではあるものの、50万トルコリラ(約400円)だから、自分が一瞬で大富豪になってしったのではないか、ターキッシュドリームじゃないかと錯角に陥ってしまったほどだ。そんなちょっとした金持ち気分を味わってから、お腹を引っ込めて、緩んだベルトの穴を一つ内側にして、気を引き締めてネコ探しに出発した。
イスタンブールは、ブルーモスクなどがある一帯を旧市街、西洋的かつ、高級ブティックなどが立ち並ぶ一帯を新市街と二つにわけているが、今回の旅は旧市街だけを歩くことにした。まずは旧市街のシンボルのブルーモスク見物だ。その圧倒的な存在感と独創的な外観は、まるでSF映画にでてくる他の星の王宮のようにさえ見える。かなり離れたところからでもその巨大さが十分わかるのだが、実際に近付いて改めてその大きさがわかる。そのスケールを日本の建造物に例えるなら、東大寺と思っていただきたい。ちょっとイメージが異なるが、その雰囲気はわかっていただけると期待する。
モスクを見物してからルンルン気分で周辺を撮影していると、モスクの正面で居眠りしているネコを発見。モスクをバックに眠るネコを撮影していると、近辺にいた靴磨きの少年達が「ちょんまげの日本人がなにかやっているぞ」とやってきて、ネコの撮影とわかるやモデルのネコを起こしてしまい、ネコはその場を立ち去ってしまった。せっかくの撮影を邪魔したとは思っていない少年達は、僕の靴を指差して、「靴を磨かないか」と聞いてくる。彼らは僕のナイロン製の登山靴のどこを磨こうというのか、それは今も謎のままである。
異国情緒を感じさせてくれる歌声とネコ
トルコは人口約6500万人のうち98パーセントがムスリム(イスラム教徒)なので、国内のどこへいってもイスラム寺院(モスク)や、アザーン(イスラム教の祈り)を歌うためのミナレットという尖塔(日本でいうと寺院の鐘楼みたいなイメージ)などがそこかしこに見られる。ここには確実に今まで触れたことがない、イスラム世界が広がっていた。
イスラム圏内を旅していると1日5回、まるでBGMのようにミナレットからアザーンが聴こえてくる。これがまた異国を旅しているという気分を盛り上げてくれるのだが、この歌のあることに気付いたのだ。それは、いろいろな町を旅していて、あの歌声がどうも町によって違っていると僕の耳がいうのだ。うそつけ。その疑問を解消すべく宿の人に聞いてみると、その歌声はテープではなくて、特別なイスラム教の勉強をした人たちが実際に歌っているとのこと。で、よーくこの歌を聞いていると、咳払いや時おりド忘れしてしまったのか無言だったり、詰まってしまったようにたどたどしかったりと人間臭さを感じさせてくれる、なんとも人の温かみを感じさせてくれる歌声だった。
街中に響くアザーンは礼拝するムスリムに安息を与えている。その熱心な祈りの横で、ネコは気持ちよさそうに眠っていた。
ネコはどこでも自由なのだ。
猫写真家 森永健一インスタグラム
https://www.instagram.com/morikencatphoto/
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