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7/21のことば

「こんな時間に珈琲を飲みつつ薄青く明けてゆく朝に目を凝らし、鳥の鳴き始めるのに耳を澄ましなどとできるのですから、もういろんな望みは平べったくなってしまっていい。」

『野良猫を尊敬した日』静かな幸福より   穂村弘:著

穂村さんの友人が、明け方にインターネットへ書き込んでいたことば。
「いろんな望みは平べったくなってしまっていい」
この部分が特に心惹かれた。穂村さんも同じ部分に惹かれていた。

読んでいてふと思ったのは、このいろんな望みとはなんだろうということ。

生きていれば、日々色んな望みが出てくる。
仕事で成功したい、意中のあの人と付き合いたい、やりがいを見つけたい、楽しく暮らしたい。意識していなくても、周りの感覚に流されて思うこともある。自分にとっての本当の望みってなんだろう。
穂村さんの友人のことばを読んで、同じ気持ちになったことがあるのを思い出した。眠れない夜、リビングで愛猫とソファに座って微睡んでいた時、ふと窓辺を見ると外が青みがかっていた。そんな時間まで起きていたのかと思うと、何処からか鳥の鳴き声が聞こえてきた。隣では猫がすやすやと眠っている。
その時、ふと幸せだなぁと感じた。
自分の帰る場所がある、青みがかった外が美しいと感じることができる、鳥の鳴き声に耳をすませる、愛猫の寝顔を眺めることができる、この瞬間がなんだかとても幸せだなぁと感じた。

当たり前になっていて、日常に流され忘れてしまう部分。
穂村さんの友人のことばと感性、とても素敵です。そして友人のことばに惹かれた穂村さんも素敵です。お二人のような、柔らかく優しい感性を、私も磨きたい。

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