【社員インタビュー】30年近く仕事を共にしてきた旧知の仲、時代の変遷を見つめてきたベテランの想い
モリカトロン社員にインタビュー!
職場の雰囲気や仕事内容、キャリアパスなどについてお伺いします。
今回は、最高技術責任者(CTO)として活躍する松原卓二さんに、モリカトロンに加わった経緯や今と昔の仕事のやりがい、若手のエンジニアに伝えたい想いなどをお聞きしました。
森川さんとの30年来の付き合いを経て
—職種と業務内容について教えてください。
松原卓二(以下、松原):モリカトロンのCTOとしてエンジニアを取りまとめています。すべてのプロジェクトにおけるシステム設計、採用技術の検討と決定、メンバーのアサイン、工数の見積もり、スケジューリング、タスク出し、マイルストーンの設置など、エンジニアリングの全工程を統括するのが仕事です。
また、最新のAIモデルを調査して、有用なツールをできるだけ早く社員に使ってもらえるように手配するのも私の役目です。このほか、社員が使うPCや計算資源、社内サーバー、各種Webサービスアカウントを割り当てたり、メンテナンスしたりといった管理業務もすべて担っています。もちろんコーディングやデバッグ、ドキュメンテーションといった実際の開発にも携わっています。
—松原さんはモリカトロンの設立当初から在籍していらっしゃいますよね。
松原:はい。もともと僕はクエイクという会社を運営していて、森川さんとは30年くらい前から一緒に仕事をしてきました。2017年のモリカトロン創業に際して「ゲームAIの会社を作ろうと思っている」と森川さんから相談を受けて、「やっと(AIの時代が)きた」「これは絶対に楽しそう」と感じて参加することにしました。最初はクエイクへの業務委託という形で仕事を発注してもらっていたんですが、途中から社員になって欲しいとお願いされて現在に至ります。
—何が決め手でモリカトロンの社員になろうと思ったのでしょうか。
松原:森川さんは誰もやってこなかった新しいことに挑戦する人なので、一緒に仕事していてつまらないと感じることがないんですよ。それが一番の決め手です。誰もやっていないことばっかりやろうとするから、必ずしも収益につながるとは限らないんですけれどね。それでも非常に楽しくやってます。
—長年ゲーム開発に携わってこられるなかで、以前からAIに携わることはあったのでしょうか。
松原:20年以上前にプレイステーション向けに開発した『がんばれ森川君2号』や『ここ掘れ!プッカ』というAI育成ゲームで扱いましたが、それ以外で活用できるような技術ではなかったので携わることはありませんでした。
かつてはAIといえば特定の課題を解決するための特注品だったので、モリカトロンの設立当初でも汎用性はほとんどありませんでした。実用レベルで何にでも使えるようになったのは、大規模言語モデルの恩恵を受けた生成AIが登場してからですね。そもそもディープラーニングが登場する以前は局所的な問題解決にすら使えないおもちゃのような技術でした。
—モリカトロンで働いていて一番やりがいを感じるのはどういう時ですか。
松原:昔は新しい論文を読んで技術を再現することに楽しみを見出していました。今は世界中でAI開発が進んでいて毎週のように新しいモデルやツールが発表されるので、仕事に活用できるように技術のアップデートを追いかけることに喜びを感じます。一方で、何かを思いついても大抵誰かが似たようなことを考えているので、ビジネスとして成立させるのは本当に難しい時代になったと思います。
モリカトロンは実利主義の“怠け者”の集まり?
—フルタイムのリモートワークになって会社の雰囲気はいかがですか。
松原:フルリモート・フルフレックスになってから個人の体調や都合に業務時間をフィットさせられるようになったので、働きやすいと感じている人は多いと思います。フル出社時代は逆に個人の都合を会社時間にフィットさせなければいけませんでした。週に1回のZoom会議で小さな枠の中に入っている顔を見るだけなので誰かの顔色を覗うようなことはできなくなりましたが、ウェットな人間関係を重視しない現代人にはいいんじゃないでしょうか。
※フルリモートのため、本インタビューはオンラインで実施しました!
掲載されている写真は、すべてカメラを趣味とされている松原さんご自身による撮影です。(素敵!)
—部下や同僚とコミュニケーションを取る上で工夫されていることはありますか。
松原:無理に工夫しようとするとしんどくなるので、特段意識はせずにフラットにコミュニケーションをしていると思います。例えば、形骸化している朝礼を毎日行ってそこでみんなの予定の確認をする、などはうちの会社では誰も望んでいないと思います。楽しく仕事ができて進捗があれば、それでいいじゃないかという実利主義者が多い会社です。
—始業から終業までの流れについて教えていただけますか。
松原:その日の予定やチャットワーク、Slack、メールを確認して、しなくちゃいけないことを順番にこなしているうちに1日が終わってしまいます。
—新卒社員に対して、どのようなフォローをしていますか。
松原:入社する際に過去に携わった研究や論文に関する情報を提供してもらうことで、その人の興味や特性に合った仕事を担当してもらえるように工夫しています。なかには入社するまで研究しかしてこなかった人もいるので、1年目でエンジニアリングの基本を身につけられるようにカリキュラムを組んだり、割り当てる仕事の内容を調整したりしています。あとは何でも相談してもらえることがすごく嬉しいので、なにか相談されたら頑張って一緒に考えます。
—新入社員のための推薦図書みたいなものはあるのでしょうか。
松原:創業当時はありましたが、今はありません。書籍の情報はどんどん古くなっていくので、基本的な知識しか参考になりません。それよりもUnityやUnreal Engineを使えるようになってくれた方が入社してからずっと役に立ちます。最近は入社前にWebアプリを作れるようになることを推奨しています。
大切なのは面白がる心と言語化する力
—モリカトロンの技術的な強みは何でしょうか。
松原:大学でAIやアルゴリズムを研究をしてきた社員が多いので、最新の論文やモデル、ツールをあっという間に解析して使いこなす応用力が強みです。一方で古参の社員は何十年もゲーム開発に携わってきたので、プログラミングやグラフィック、サウンドなどあらゆる分野での製作経験があります。また、実務には到底使えないレベルの頃からAIを扱ってきた「知識の厚み」が古参の強みになっていると思います。
—“エンタメAI”を開発するうえで心がけていることはありますか。
松原:エンタメを作る側として僕ら自身が楽しめなければいけません。そのためにはモデルやツール、アルゴリズム、アイデアなど、できるだけ新しいものを活用しながら、それぞれの作業やプロジェクトに最も適性や興味がある人に担当してもらうことが重要です。例えば、漫画のツールを作るなら漫画が好きな人が開発したほうが絶対にいいですから。そして、お客さんの想定を上回るスゴイもの、面白いものを作ろうと常に考えるように心がけています。
—AI技術に関する最新の情報や変化に対応するために、何か取り組んでいることはありますか。
松原:いまは情報があふれているので、意識的に網を張らなくても最新の情報はいくらでも入ってきます。そういうわけで情報を得るための具体的な取り組みは特にありません。大量に流れ込んでくる情報のなかに誰かが「これはイイ!」「面白そう!」と感じたトピックがあれば、社内の掲示板に気軽に投稿してもらってみんなで意見を交換しています。
—モリカトロンのエンジニアに求められる資質は何だと思いますか。
松原:何でも「面白がれる心」でしょうか。やりたいことが何もない人より、あれもやりたいこれもやりたいと何にでも興味をもてる人の方が、話していても楽しいし仕事に対して常に前向きだと思います。厳しすぎるスケジュールに対しても笑いながら「無理です(笑)」と言える人は、いかなる状況でも面白さを忘れていませんよね。
—若手のAIエンジニアに向けたアドバイスはありますか。
松原:AIを扱う人間にとって物事を言語化する能力が最大のアドバンテージになります。かつては人間同士の円滑なコミュニケーションに役立つ人柄だとかバイタリティーだとか、そういうふわっとしたものが求められる風潮がありましたが、いまはAIを相手にするために言語力は必須です。たとえプログラミングスキルで劣っていたとしても、問題を言葉で正確に整理できる能力があれば大規模言語モデルを活用して解決できる時代になりました。
これからのエンジニアはとにかく言語力を磨くといいでしょう。そのためには何でもいいから好きな本をたくさん読んだり、日記やブログに自分の言葉を書いたりすることです。天性の才能でもない限り、言語力は読み書きを日常的に続けることでしか身につきません。
あとは趣味は多ければ多いほどいいと思います。少しでも興味があることは何でも始めてみれば、いろいろな発見があって経験として蓄積していきます。それが総合力になっていくと、僕は考えています。
—これまで携わってきたなかで最も印象的だったプロジェクトは何ですか。
松原:かなり古い話題ですが、やはり『がんばれ森川君2号』が最も印象に残っています。森川さんが企画と設計、僕がプログラミング、宮本さん(現在はモリカトロンで自然言語系の研究開発に従事)が3Dグラフィックを担当したプロジェクトで、いまのモリカトロンの源流となったゲームです。
次点で「Playable!」や「モリカコミック」といったモリカトロンの屋台骨となる現在進行中のプロジェクトですね。毎日みんなでいろいろなアイデアを出し合ってプロダクトを磨き続けています。
—この先、モリカトロンとして達成したいことや、ひとりのエンジニアとしての夢があれば教えてください。
松原:壮大なビジョンはありません。毎日楽しく仕事ができるだけで幸せです。ありがたいことです。もっといろいろなゲーム会社さんと仕事がしてみたいですね。ゲーム作りにたずさわる人々はいつだって「面白いこと」「楽しいこと」に目がないので、話をしていてもとても楽しいです。
—モリカトロンを漢字一文字で表現してください。
松原:楽しいものを作る、何でも楽しむ、楽をするために苦労するという意味で「楽」ですね。でもこれだと高橋さんと被ってしまいますよね。今日を超える、想像を超える、限界を超えるという意味で「超」かな。いやー、カッコ良すぎてなんか違いますね。「楽しむ」に「喜ぶ」のニュアンスも追加して愉悦の「愉」というのはどうでしょう。「楽2.0」みたいな。技術を、仕事を、人生を、なんでも愉しもうという想いを込めて「愉」にします。
—今後、モリカトロンを志望する人に向けてメッセージをお願いします。
松原:技術でエンタメをブーストしましょう!
どんなことにも楽しさを見いだすことが良いエンジニアの資質の一つだと語る松原さんは陶芸も趣味にされています。最近作ったものだと、こんなものも…。メイキングはこちらにアップされています。
現在モリカトロンは積極的に採用活動を行っております。
ご興味がございましたら、ぜひご応募ください!
※編集小ネタ✐
サムネのキャッチコピーは、ChatGPTが作成してくれました☺
「誰もやらないことを、誰よりも楽しむ。30年の信頼が生む“エンタメAI”の未来」
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