![米偵察機](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/17191115/rectangle_large_type_2_a12ad5f6a4c41f8b14f082d1cccf15c2.jpeg?width=1200)
北朝鮮・金正恩のICBM・SLBMクリスマス・プレゼントのお返しに、米国・トランプ大統領は限定攻撃を用意していた!
停滞する米朝交渉
北朝鮮の非核化に関する米朝交渉は、2019年10月のストックホルムでの実務者協議が決裂して以来、進展がない。
金正恩は、4月に一方的に交渉期限を2019年の年末と定めており、何の進展もないまま経済制裁だけが重くのしかかっていることに苛立ちを覚えている。5月からは、2年間ほど自制していた弾道ミサイルの発射を毎月のように行うようになった。いずれも短・中距離のミサイルで、アメリカ本土まで届くようなICBM(大陸間弾道ミサイル)ではなかったので、国連安保理の決議違反ではあったが、トランプ大統領は大目に見て、特に対応をしなかった。
北朝鮮の不穏な動きに対応する米国
しかし、金正恩が自ら設定した交渉期限が近づくにつれて、北朝鮮では不穏な動きがみられるようになる。ICBMか、それに類似するミサイルの発射実験の兆候が顕著になってきた。
それを察知した米国は、11月下旬から、さまざまな種類の偵察機を連日のように朝鮮半島に飛ばしている。主に、沖縄の嘉手納基地からの発進で、12月5日の時点で、偵察機やミサイル観測機が6機ほど確認されている。
この偵察機の情報を、米国はわざわざ軍用機追跡サイト「エアクラフト スポット」のツイッターで開示している。
また、偵察機だけでなく、11日には、核兵器や巡航ミサイルなど多様な兵器を大量に搭載でき、「死の鳥」と恐れられるB52戦略爆撃機が日本海で威嚇飛行したことも、ツイートされている。
USAF B-52H FAVIO01 departed Andersen AFB, Guam en route to the Sea of Japan.
— Aircraft Spots (@AircraftSpots) December 11, 2019
USAF KC-135R FLOG21 provided support. pic.twitter.com/doDAhFRu1k
わざわざ軍事情報を公開するのは、北朝鮮に対して自制するように強く促しているのだ。
北からのクリスマスプレゼント
それにもかかわらず、北朝鮮は、12月3日に、リ・テソン外務次官(米国担当)が、「残されているのは米国の選択であり、近づくクリスマスのプレゼントに何を選ぶかは、全面的に米国の決心にかかっている」との談話を発表した。
そして、12月7日と13日には、東倉里(トンチャンリ)の西海衛星発射場で、ICBMのロケットエンジンの燃焼実験を行い、「非常に重大な実験が行われた」「米国の核の脅威を牽制、制圧するまた"別の戦略兵器開発にそのまま適用"される」と発表。
金正恩は、2018年年6月のシンガポールでの第1回米朝首脳会談で、トランプ大統領に、東倉里発射場の解体を約束している。トランプ氏は、これを自身の外交成果として大統領選挙に臨んでいるので、完全にメンツをつぶされた形で、看過できない挑発と受け取っているはずだ。
特に、13日の実験では、北朝鮮はわざわざ7分間行われたと言及している。専門家は、この420秒が新型ICBMの第2段ロケットのエンジンの燃焼時間だと分析。これは、既存の「火星15」(推定最大射程距離は、米国全土を射程とする13000㎞)の第2段エンジンの燃焼時間200秒の2倍以上ということだ。単純に言うと、第2段エンジンの部分では、2倍の重さの核弾頭が搭載可能であることを意味する。
そこまでされていながら、トランプ政権は、ビーガン北朝鮮担当特別代表を15~17日の日程で韓国に派遣し、北朝鮮との直接対話を訴えたが、完全に無視された。(訪韓後、日本で北村国家安全保障局長などと会談し、19日から2日間の日程で、当初予定になかった訪中を実施し、再度北朝鮮との接触を試みたが、これも無視された。)
米国は、20日頃からクリスマス休暇に入るので、それまでに、何とか話を付けたかったのだろうが、金正恩は自身で年末の期限を設定してしまっているので安易に妥協的な協議に応じるわけにいかない。
プレゼントは、SLBM?
気になる情報がある。
朝鮮半島情勢に詳しい西岡力氏は、インターネット番組の中で、「北の内部から繋がる筋に聞いたのは、東倉里はダミーである。金正恩は、9月にSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)の発射実験の準備をしろと指令を出した。クリスマスまでに、原子力潜水艦を完成させて、そこからSLBMを発射させる実験をせよと命令されている」 8分20秒~
秘密工場では、24時間体制の突貫工事が行われているが、技術的にも間に合うかどうかは不明とのことである。
また、軍事ジャーナリストの潮匡人氏も「24~26日に、新型潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射する可能性がある。日本列島上空を飛ばす危険性もあり、しっかりと備えるべきだ」と述べている。(zakzak)
金正恩は、自ら年末という期限を切ってしまっている以上、このまま何もしない訳にはいかない。米国が休暇に入るクリスマスから年末にかけて、準備ができればSLBM、それが間に合わなければICBMの実験を行う可能性が高い。その場合も、通常の軌道より高い軌道をとるロフテッド軌道で距離を短くしたり、アメリカとは関係ない方向に打ったり、衛星の打ち上げと称して、トランプ大統領が本気で怒るのを避ける方策を取るだろう。
一方、トランプ大統領も、今までの短・中距離のミサイルと異なり、長距離のICBM 又は、SLBMの実験となれば、何か対応をしなければならなくなる。かといって、まともに北朝鮮の基地などに攻撃を加えれば、全面戦争にもなりかねない。
トランプ大統領も、全面対決は望んでいないので、考えられるのは、発射された弾道ミサイルを迎撃するか、または、発射時に電磁的な妨害等を加えて失敗させることを企てているのではないだろうか。偵察機やミサイル観測機を頻繁に飛行させているのは、そのためではないかと考えられる。
(但し、10月2日に北朝鮮が行なった海中に発射台を据えた偽SLBMではなく、潜水艦を海中で移動させて本物のSLBMを発射された場合は、迎撃は極めて困難となる)
日本政府の対応
10月上旬には、東京・市谷の防衛省敷地内にPAC3(地対空誘導弾パトリオット)2基を展開している。これは、2018年7月に米朝融和を受けて一旦撤収して以来の展開である。
12月20日 政府は、SM3(弾道弾迎撃ミサイル)を搭載したイージス艦を2隻体制に増強する方針を固める。日本海と東シナ海周辺に派遣し、情報収集、迎撃態勢を取らせている。
また、12月15~17日に予定されていた安倍総理のインド訪問が、何と直前の2日前に延期が決定された。訪問先エリアの治安情勢の悪化が理由であるが、日本側も、北朝鮮のクリスマスプレゼントに対応する必要があったことも影響したのではないだろうか。
河野防衛大臣は、12月21日に横須賀地方総監部、自衛艦隊司令部、潜水艦「たかしお」、イージス艦「きりしま」、護衛艦「いずも」を視察。
24日に、情報本部、サイバー防衛隊を視察。
米朝の動きを時系列で追記
12月16日 トランプ大統領
「何かを準備中なら失望を覚える」「(準備が事実なら)我々は対応する」「(状況を)注視している。多くの場所を監視している」
同日 エスパー国防長官
「北朝鮮が(現状に)満足していなければ実験はあり得る」
12月17日 米太平洋空軍のブラウン司令官
「クリスマスプレゼントは、何らかの長距離弾道ミサイルと予想している」「この数週間の北朝鮮のさまざまな発言やミサイル関連の実験はすべて、何らかの活動があることを示している」「北朝鮮にはパターンがあり(そうした言動はミサイルの)打ち上げに先立つものだ」「クリスマス前後や年明けにも発射が行われる可能性」「すぐには何も起こらないかもしれない」「我々の任務は外交交渉を支えることだが、それが失敗したときに備えなければならない」『2017年に行ったようなことをすぐに再開することができる』
12月20日 エスパー国防長官
『もし必要なら戦い、勝つ準備はできている』『必要とあらば今夜戦い、勝つための高い水準の準備があるという自信がある』「政治的解決が最善だ」「外交にとどまれることを望んでいる」
長官のコメントからは、北朝鮮の挑発を抑止しようという意図が見える。20日以降は、米国は新年1日までクリスマス休暇。この期間中に、弾道ミサイルを発射するようなことがあれば、米国は黙っていないだろう。トランプ政権は、この時期に威嚇をされること自体にもイラついているはずだ。
12月22日 党中央軍事委員会拡大会議の開催を発表(朝鮮中央通信)
金正恩は「今後の軍建設と軍事政治活動で基本とすべき方向と方法を具体的に明らかにした」「自衛的国防力(弾道ミサイル)を発展させるための核心的な問題」を議論。
12月24~25日
USAF RC-135S 62-4128 SLIME99 departed Kadena at 1430Z - Sea of Japan mission pic.twitter.com/1m6L1PNcxp
— Aircraft Spots (@AircraftSpots) December 24, 2019
RC-135S (弾道ミサイルの光学・電子情報収集機)は、イブの夜23:30に沖縄の嘉手納基地を飛び立って日本海のミッションに就き、途中、真夜中の空中給油も行なって、再度の任務続行。
無人偵察機 RQ-4 Global Hawk 、RC-135W 、 E-8Cなど、偵察機を総動員。
青山繁晴氏の驚愕リーク!
2019年12月23日の「虎ノ門ニュース」で、青山繁晴参議院議員が、『米国が北朝鮮への限定攻撃を準備している」と驚愕のリーク!
まず、12月21日PM10時30分(ワシントン21日AM8時30分)頃から行われた日米首脳電話会談に絡んで。
トランプ大統領の要請で行われた電話会談は、75分という異例の長さ。
その最重要議題が北朝鮮に関して。
〔外務省発表〕:両首脳は,北朝鮮をめぐる最新の情勢について意見交換を行い,北朝鮮問題に関する方針を綿密にすり合わせました。安倍総理からは,米朝プロセスを完全に支持していること,北朝鮮に対しては危険な挑発行動ではなく,平和的な対話を通じて,朝鮮半島の完全な非核化に取り組むよう,改めて強く求めていることを述べました。また,両首脳は,拉致,核,ミサイルの諸問題の解決に向けて,今後も日米で一層緊密に連携し,共に対応していくことで,完全に一致しました。
青山氏は、まず、海上自衛隊のイージス艦2隻が、北朝鮮専従で(日経:日本海側に加え、東シナ海周辺にも)増強配備された事実を伝える。
そして、『アメリカが、意外にも北を限定攻撃するかもしれない』と、意を決したようにリーク。
2017年11月には、自衛隊も含めて臨戦態勢だった(日米で統合作戦の練習まで行なった)。その時は全面攻撃のオペレーションだったが、今回は、可能かどうか疑わしいが限定攻撃を考えている。〔要旨〕
2017年11月の件は、以前に青山氏自身がリークしていたが、これを補足する当時、統合幕僚長だった河野克俊氏の(オブラートに包んだような)証言がある。
番組の後半では、20日の夜に行なわれた米中首脳電話会談に言及。
「アメリカが、もしも北朝鮮を限定的であっても、攻撃するときにチャイナはどうするのか。特に、人民解放軍は南下するのか、しないのかということを、これは絶対首脳でないと、ニュアンスが取れないから、もろにその話をしたとは僕は考えていませんが、まあ、ちょうど貿易でアメリカに言わせると第一段階の合意ができたので、電話をする口実があるから、通訳を挟んでだけど、相手の様子を窺おうと、・・・・・北朝鮮について看取したいんです。」
1月2日以降に、米朝危機再来か?
北朝鮮は12月下旬に党中央委員会総会を開催し、「重大な問題を討議、決定する」と表明済み。この総会以降、年始にかけてが要注意となる!
北朝鮮は、米国のクリスマス休暇中にICBMの実験を行うとトランプ氏が激怒するのが分かっているので、1月2日以降の実験を考えるかもしれない。
もし、ICBMの発射実験が行われたならば、トランプ氏も、これ以上何も対応しないで放置すると『戦争ができない大統領』のレッテルを張られ、大統領選に不利になるので、限定攻撃に踏み切る可能性がある。
1月3日 イランの司令官殺害で、北の挑発も抑止
2020年1月3日 トランプ政権は、イスラム革命防衛隊・コッズ部隊(対外工作部隊)のソレイマニ司令官を、ドローンを使って、イラク国内で殺害。
これは、金正恩に対して強烈なメッセージとなり、北朝鮮の動きはいったん沈静化する。
*見出しPH:米国偵察機〔by THE WAR ZONE〕
いいなと思ったら応援しよう!
![森海人](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/11057760/profile_d7a8b7c975f85ea57b6cd7b8df912e13.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)