太陽活動(太陽フレア・CME・太陽風)の影響による大地震の予測方法
長野県中部で、震度4の地震発生
2020年4月23日13時44分頃、地震がありました。
震源地は、長野県中部(北緯36.2度、東経137.7度)で、震源の深さはごく浅く、地震の規模は推定マグニチュード5.5。
長野県松本市安曇野で、震度4を記録。
地震発生22分前の注意喚起ツイート
この地震が発生する22分前の13時22分に、以下の地震に対して注意喚起するツイートをしました。
このツイート内容の解説と、どうしてこのような注意喚起ができたかを、以下に説明します。
太陽活動、特に太陽フレアとCMEの影響による地震
日々起きている地震の中には、太陽活動の影響によって引き起こされるものがあります。
東日本大震災も太陽活動に関係
東日本大震災(2011年3月11日)の時の津波の原因となった東北地方太平洋沖地震 もこれに当てはまります。この時は、太陽活動が非常に活発な時期で、太陽フレア(太陽面での爆発現象)が多発し、これが数日後に強力な太陽風の衝撃波として地球に到達し、地球の磁気圏と大気が押しつぶされ、地球表面の地殻に負荷が掛かっている部分に、さらに圧力が加わり、大地震の発生となりました。
(複雑になると分かりづらいので、簡略化した流れです。)
上記は、宇宙天気ニュース の 3月12日の『27日の太陽周期に合わせたデータプロット』です。
最上段のX・M・Cと書かれたグラフが、太陽フレアの発生(Ⅹ線強度)を示したもので、特に3月7日~9日に掛けてMクラスとCクラス(5等級の上から2番目と3番目の強度)の太陽フレアが頻発しているのが分かります。
*宇宙天気ニュース 3月10日 左欄のフレア(GOES)も参照ください。
上から2段目の黄緑線のグラフは太陽風の速度を表し、3月10日の速度が上がり始めた時点が、太陽風の衝撃波が地球に到達した時刻となります。
*太陽風を観測している衛星の位置との距離がある為、多少の時間差があります。
長野県中部の地震の場合
今回の長野県の地震は、太陽活動の一つで、CME(コロナ質量放出:太陽ガスの放出現象)と呼ばれる活動によるものです。
上の写真は、NASAの太陽観測衛星が、太陽の横からCMEの発生を写したもので、右側が地球方向です。4月14日から15日に掛けての発生。
(宇宙天気ニュースのHPで、動画が見られます。)
太陽風による衝撃波で、地震が起こりやすい状態に
太陽で発生したCMEは、太陽風となり6日程かけて、4月21日に衝撃波として地球に到達しています。
*太陽風の到達日数は、CMEや太陽フレアの強度により変化します。
上の図の【太陽風速度】のグラフを見ると、20日までは超低速だった太陽風が、21日から速度が上がっているので、この時点で地球に衝撃波が到達したことが分かります。
太陽からの太陽風の到達時間が早く、太陽風の速度の上昇度合いが大きいほど、衝撃波が強いということになり、地震の震度も大きくなる傾向があります。
*今回は、それ程の強度ではなかったので、震度も4程度で済みました。
太陽風の衝撃波が地球に到達すると、多くの場合、地磁気嵐が起こり、緯度の高いエリアでは オーロラ が見られます。
地震の要注意日・要注意エリア
この太陽風の衝撃波が到達してから数日後ぐらいまでが、地震の要注意日となります。
その期間に、地震が連発するエリアがあれば、そこが要注意エリアとなります。
気象庁の地震情報を見ると、4月22日2時26分から長野県中部で、地震が連発するようになりました。
太陽風の衝撃波が到達してから、ちょうど1日後ぐらいから始まっています。
私が注意喚起のツイートをしたのは、この流れに沿ったものです。
宇宙天気予報
では、日々、これらの指標を注意していなければいけないのか?
忙しい現代人にとっては大変ですね。
そこで、便利で有難いのが、宇宙天気予報センターによる
宇宙天気情報メール配信サービス です。
これに登録しておくと、大きな太陽活動(太陽フレアや地磁気嵐)が起こった時に、メールで知らせてくれます。
メールが届いた時に、地震情報をチェックして、地震が頻発しているエリアがあれば、注意すればよい訳です。
先の 宇宙天気ニュース 等で、太陽風の変化から、衝撃波の強度をチェックできれば、さらに震度予想にも役立ちます。
因みに、太陽フレアやCMEのような太陽活動による地震の傾向としては、地震の震源の深さが比較的浅い『10㎞ 』程度のものが多いです。
東日本大震災の時は、太陽フレア連発で、衝撃波の強度が強かった為、震源の深さは24kmでしたが、それでも比較的浅い方です。
事例(追記)
【追記】2024.6.25
東日本大震災以降、太陽活動と地震の関係を独自で研究し、経験則として、上記の法則を見出しましたが、近年、地震予測の専門家による検証も進んできているようです。
*見出は、Wikipedia『太陽風と地球磁気圏との相互作用を描いた図』
右の小さい球体が、地球です。太陽活動が、地球にどれほど影響を及ぼすかが実感できる図です。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます!