『ABEMAがVPP広告を正式開始。映像AIの進化で未来の広告はどうなる⁉』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2024.11.4
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■ABEMA、ドラマに「後付け」広告 AIで商品画像合成
ABEMAでは、昨年12月に実証実験が発表されていた新しい広告手法「バーチャルプロダクトプレイスメント(VPP)」が、ついに11月中にも正式に開始されることになりました。
昨年12月にサイバーエージェントから発表されていたニュースはこちらです。これが1年弱で実用化にこぎつけた格好です。
プロダクトプレイスメント(PP)広告は、映像の中に広告したい商品が映されるという広告手法です。ドラマや映画などで、さりげなく、またはあからさまに、特定メーカーの商品が映されるアレです。
VPPはPP広告の発展形です。AI技術を活用し、映像内に広告商品を後から自然に合成するのがVPPです。撮影後の編集段階で商品を映像に埋め込むことができるため、広告の柔軟性やパーソナライズの可能性が飛躍的に向上します。
VPPの特徴
VPPの特徴を理解するために、従来のPPや地上波テレビのCM枠と比較します。
PP広告と地上波テレビCMの違い
自然な広告露出: PP広告は、映像の一部として商品を自然に登場させるため、視聴者に「広告を見せられている」という感覚を抱かせにくいのが特徴です。キャラクターが使用している商品やシーンの背景に配置されたブランドなど、物語の中で自然に溶け込んでいることで、視聴者の広告への抵抗感を減らします。
視聴中断の有無: 地上波テレビでは、番組の途中でCM枠が入り、視聴体験が中断されます。これに対し、PP広告はストーリーに組み込まれているため、視聴中断がなく、物語の流れに沿って商品を見せることができます。不快感が少ないだけでなく、30秒スキップボタンで飛ばされないことも大きな特長です。
作品の流通自体が広告に: PPは映像作品が世界中で見られることで、世界中の視聴者に広告商品を見せることが可能です。通常、サブスク配信されたりDVDなどパッケージで流通する映像にCM枠はありませんので、作品が流行れば広告が広がるというのは地上波テレビのCMとの大きな違いです。
VPPならではの利点
VPPは、従来のPPにさらに柔軟性とパーソナライズの力を加えた広告手法です。
後付け可能な広告配置: 撮影後でも、AIを使ってブランド商品を映像内に自然に合成することができます。これにより、後から広告契約が結ばれた場合でも、適切な場所に商品を配置することが可能です。
ターゲットに応じたパーソナライズ: AI技術により、視聴者ごとの属性や嗜好に応じて、表示する広告商品を変更することが可能です。例えば、若年層の視聴者にはファッションアイテム、ファミリー層には家電製品といった具合に、視聴者に合わせた広告を映像内に配置できます。
柔軟な広告在庫の増加: 撮影時点で広告商品を決定しないため、配信後でも広告枠を追加することが可能です。これにより、広告在庫が増え、収益化のチャンスが広がります。
グローバルなリーチ: 視聴者に合わせてパーソナライズされた広告商品をあとから挿入するわけですから、国ごとに実際に購入できるものをVPP広告として出しわけることが可能になります。
映像系AIの進化でリアルタイム・パーソナライズVPPが来る⁉
映像生成AIがさらに進化すれば、視聴者や広告商品に合わせてシーンそのものをリアルタイムで生成することができます。生成AIの大きな特長は、「パーソナライズ」と「リアルタイム処理」にあります。
これまでの広告制作は、撮影時点でカット割りや取り扱う商品を決めておく必要がありましたが、AIを活用することで、視聴者ごとに異なる商品が配置されたシーンまるごとを生成・配置することが可能になります。
広告の限界費用がゼロに近づき、視聴者一人ひとりに最適化された広告をリアルタイムで提供できます。例えば、同じドラマを見ている視聴者でも、それぞれの関心に合わせて異なる商品が自然に登場することで、広告効果を最大化し、視聴体験を損なわない形でブランド認知を図ることが可能です。
「このCMをご覧になっている70代・80代の皆さんにお知らせです!」と一律に広告を見せても、60代以下の人には残念な思いをさせるだけです。こうするしかないが今の広告ですが、AIの進化によるVPP広告の高度化によって、リアルタイムにパーソナライズされた広告が表示されるようになるはずです。
まとめ
ABEMAでのVPPの正式導入は、AIの進化によってより高度な映像と広告の表現や体験が実現するファーストケースです。従来のPPが持つ「自然に広告を見せる」という強みを引き継ぎつつ、AI技術によってさらに柔軟かつパーソナライズされた広告体験を提供することが可能になります。
さらに、映像生成AIが進化することで、視聴者ごとに最適なシーンや商品をリアルタイムに生成し、広告効果を最大化する時代が訪れるでしょう。
広告が単に「見せられる」ものから、「視聴体験に溶け込む」ものへと進化していくことで、視聴者にとっても広告主にとっても新しい価値が生まれます。映像と広告は、AIの進化によりパーソナライズされ、リアルタイムに挿入されるようになると確信しています。