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『OpenSeaがNFT交換機能Dealsリリース。「交換」は価値観をガラリと変える!』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.7.22


■OpenSeaがNFT交換機能Dealsリリース

コレクターは「ディールズ」でNFTを交換したい相手のユーザーネームやアドレス、ENSを検索し、相手が所有するNFTから自分が欲しいNFTを選択。そして自分が所有するNFTから交換可能なNFTを選択後、取引期間を指定し、相手のNFTと自分のNFTを交換する為に相手へオファーをかける流れとなっている。なお所有NFTを複数選択し、オファーをかけることも可能であるという。

NFTを出品・売買する世界最大のプラットフォームOpenSeaに、ユーザー間でNFTを「交換」する機能が追加されました。

メルカリのように、売る側はNFTを「出品」、買う側はNFTを「購入」する「売買」というかたちでしたが、新たにNFT同士の「交換」に対応することでどんな変化をもたらすのでしょうか?


1.NFTコンプリートを楽しむ

「交換」はコレクターがシリーズのコンプリートを目指すニーズを満たしやすくなります。原始的にはビックリマンチョコのシールやポケモンカードのように、パッケージで大量に買ってダブったものと、持っていないものを交換するような時に使われそうです。

売ってお金を作って、そのお金で買うよりも直接交換する方がステップ数が少なくて簡単ですし、ステップ数が少ないということはユーザーが払う販売手数料も減らせます。

とすると、ポケモンカードの販売方法のように複数枚を中身がわからないかたちでパッケージして販売する手法が増えそうです。NFTの場合は賭博にあたらないようなケアが必要でちょっと難易度が高いですが、パッケージ販売&リビール(開封の儀)、1枚の絵柄が複数枚あるかたちのNFTが増えると予想します。


2.チケットの日程や座席の交換に

NFTはアートやカードデザインだけの用途ではありません。チケットNFT、会員権NFT、RWA(Real World Assets、現実の資産物)の所有証明書NFTなどさまざまなかたちのものがあります。

たとえばライブやイベントのチケットNFTでは、購入後に予定が入ってしまい行けなくなることがあります。

日を替えれば行けるのに、という時に「払い戻しを受ける→行ける日のチケットを買いなおす」とできればいいですが、払い戻しに対応していなかったり手数料がかかるケースも多くあります。また人気のイベントだと行ける日のチケットが買えるとは限らないケースもあります。

であれば、日程的に行けなくなった2人が行ける日程のチケットを交換した方がよいはずです。

イベント主催側としても、行けなくなった2人の払い戻し対応するより行ける日同士で交換してくれた方がキャンセルも減り手間も減ります。

ユーザーにも主催者にもメリットがあるNFT交換機能の実装によってチケットのNFT化が加速するはずです。


3.RWA、家やクルマを「交換」

RWA(Real World Assets、現実の資産物)の所有証明書NFTが流行りつつあります。

不動産などの現実資産をNFT・トークン化することで、
・流動性を高める(売買しやすくなる)
・アクセス性を高める(売っていることを見つけやすくなる)
・透明性を高める(過去の取引履歴などを確認しやすくなる)
というメリットがあります。

売買でもこれらメリットを享受できますが、RWA取引に「交換」が加わったら価値観が変わるほどのインパクトがあるかもしれません。

例えば家の住み替えの場合。
同じ時期に引っ越す人の間で家を交換できたらどうでしょうか?

所有している家を売ること、新しく家を買うこと自体がとても大変で多額の手数料もかかります。
賃貸であっても退去手続きと新居の入居手続きと2度やることが必要で大変です。

クルマの乗り換えの場合も「交換」ができたら便利そうです。
古いクルマから新しいクルマへという「縦」の乗り換えが今はメインですが、同じくらいの年式や価格のクルマ同士を交換することが手軽にできれば「横」の乗り換えという市場が新しく生まれます。

またコレクターはオファーの際に、自分が所有するNFTに加えて、オプションとしてWETHの追加ができ、交換の成功率を増やすことも可能となっている。

OpenSeaが実装した仕様としてもNFT+WETH(お金)での交換を可能としていますので、金額に差がある場合でも対応できそうです。


交換機能はNFTを投機的アート売買から脱却させる一石

今回OpenSeaに実装されたNFT交換の基本は「等価交換」です。将来の値上がりの期待値も含めて等価でなければ交換交渉が成立しません。等価交換を前提とするということは、OpenSeaがNFT投機のバブルが崩壊したことに対応したとも言えます。

二次流通を活性化させてロイヤリティで稼ぐ手法や、コミュニティのしがらみを利用してガチホを促し売り出されないように仕向ける低リスト率化値上げ手法など、投機市場であることを前提にしたテクニックは、NFTを一般に広げることの阻害要因にもなっていると感じていました。これらは売る側に都合の良い手法です。

NFT交換で広がる可能性の例を3つ挙げましたが、いずれも共通しているのはNFTの用途と利用者を広げるだろうということです。

交換自体がNFT取引のメインになるとは思いませんが、NFTをより使いやすく・使われやすくするための一石を投じる機能になるだろうと思います。

家やクルマは「交換」できるものだ、という発想がNFTによって生まれ定着したら、それはすごいことです。

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