『リアルイベントの難しさ~通信障害・行列・スタッフ不足』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2022.12.4
■ドラクエウォークのリアルウォーキングイベント炎上
AR位置情報ゲーム「ドラクエウォーク」、昨日と今日の2日間、大阪万博講演で初開催されたリアルイベントが大炎上しています。
私もその現場にいたのですが、ネットサービス・スマホアプリをベースにリアルイベントを開催する難しさを痛感しました。
Twitterなどにアップされている写真で伝わる何倍も混みあっていました。また、上記のニュースまとめ記事では書かれていない問題点もありました。
今回は何が問題で、どんな対策が打てたはずなのか。
今日も同じ万博記念公園で2日目が開催されていますし、近く東日本(たぶん関東首都圏)でも開かれる予定だと予告されていますので改善は必須。現場からの体験レポートも交えて要改善ポイントを考察してみたいと思います。
■通信できない問題が致命的
ドラクエウォークは通信を伴うゲームです。通信できないと話になりません。今回一番の炎上は「人が集まりすぎて基地局のキャパを超えてしまい、会場内で通信が一切できなくなったこと」でした。
今回のリアルイベントでは万博記念公園に6か所のチェックポイントを設け、アプリの位置情報とチェックイン機能を使ってスタンプラリーをやるのがイベントの基本設計でしたが、万博記念公園内に入ると通信できなくなりました。
万博記念公園はものすごく広いので中心から離れるほど通信できるようにはなったのですが、特に上記の「リアル交換所設置場所」は景品交換や物販、撮影スポットなどユーザーが密集していてほぼ通信は不可能でした。
現在コラボを実施しているコカ・コーラ自販機のCoke onも、通信できないため現金販売のみになっていました。
どのくらい来場者が来るかの読みが甘かったのは間違いなく、スタンプラリー完了者へのプレゼントグッズ5000個は午前中のうちになくなったと交換所の行列ではアナウンスされていましたが、グッズがなくなること以上に基地局の限界を超えることを想定していなかったのではないかと思います。
万博記念公園は音楽ライブなど大規模イベントを過去も多数やっていたはずなのですが、ドラクエウォークのように激しく通信するアプリのユーザーを多数集めることの影響を考えていなかったのだろうと思います。
可能なのかはわかりませんが臨時で基地局を増設することをキャリアに相談することも必要だったのだろうと思います。増設が叶わないならば基地局のキャパシティに合わせてイベントを事前チケット販売制にして人数を制限するような工夫が必要でしょう。
■ラーメンEXPOの密列にDQWユーザーが混ざったことが原因か
同日、ラーメンEXPOというイベントが同時に開催されていました。こちらも大人気イベントで、ラーメンEXPO目当ての来場者も多数いたはずです。全国から名店が10店舗も出展され食べ比べができるイベントです。
ドラクエウォークのイベント参加者ももちろんラーメンEXPOを楽しみにしていた人は多かったと思います。
ラーメンEXPOの会場は万博記念公園の中央入り口からすぐの場所で、立地的に最も人が集まりやすいところにありました。
ラーメンを買い求める列は10店舗に分かれていても1列1時間強でした。これだけの密集した人数の多くに、ドラクエウォークのユーザーが混在しました。
仮にラーメンEXPOだけが開催されていたなら、同じ人数の行列ができていてもまったく通信できないほどにはならなかったかもしれません。
ドラクエウォーク+ラーメンEXPOで来場者数が増えたことの影響より、ラーメンEXPOの狭く密集したエリアに激しく通信するアプリのユーザーを大量に集めてしまった方が影響が大きかったのではないかと推察しています。
リアルイベントは飲食とトイレの行列が常に問題になりますが、ドラクエウォークのイベント運営サイドはラーメンEXPOのおかげで飲食供給の問題が解消されてありがたいな、という感覚だったかもしれません。
■行列と待ち時間。捌ききれないスタッフ数
何しろずっと並んでました。
10時ごろに万博記念公園に着いたあと15時に後にするまでの5時間のうち、行列に並んでいた時間は4時間近くに及びます。
ドラクエウォークという名前が皮肉に感じます。
まず万博記念公園の入場券を購入するための列が1時間半。列を整理するスタッフが非常に少なく列が維持できません。意図的な割込みだけでなく列同士が分離集合を繰り返しどこが列なのかわからない状況にもなっていました。
やっとチケットを買い会場入りしたころには11時半前。ラーメンEXPOも楽しみにしていたので腹ごしらえで先にそちらに向かうとラーメン引き換えチケット購入の列。
そしてラーメン店の前に並ぶ長蛇の列。1杯1時間×2杯の都合2時間以上並びました。
確かに激しい行列はできていて長時間並ぶのは苦痛でしたが、スタッフの列への案内は細やかでしたし、ラーメンを受け取った人が退出するルートに問題があることを発見したら柵の位置を変更して滞留を防いだりと、スタッフが適切にワークしていることも確認できました。
かたやドラクエウォーク会場の行列とスタッフの捌き方はあまりにも醜かった。
芝生エリア、周囲の道路、あちこちに行列ができているものの、何の行列なのか・最後尾はどこなのかが全く分からない状態でした。
行列が行列を呼び何となく並ぶ人が列を伸ばしたあとにスタッフがやってきて「景品交換は午前中で終了しました。今から並んでも交換できません」と伝える始末。そのスタッフの目に届かない場所でまた別の行列ができては延伸するという不思議な混乱っぷりがあちこちで見られました。
またスタンプラリーの方も課題がありました。何か所かある分岐点のところにスタッフがひとりもおらず、間違ったルートを選んでしまうと万博記念公園の外に出てしまいます。戻ってくるのも一苦労な広さなので、分岐点には間違わないようにスタッフを配置すべきでした。(特に日本庭園のスポットCがわかりづらい。)
■リアルイベントを実施する難しさ
通信キャパシティについては未来6Gに進化すれば解決するかもしれませんが、行列捌きや会場案内などリアルな人を動員する際に必要になるノウハウはとても専門性が高いものだなと実感しました。
普段ネットサービスを企画設計しサーバ負荷やアクセスログと睨めっこするばかりの自分にとって、今回のドラクエウォークのイベント炎上を現地で体験できたことはむしろ実り多かったと感じます。
いつかこのようなフィジカルイベントも開いてみたいと思っていますし、その時に今回の経験が活きるとよいなと思います。
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