『美食コミュニティの会員権をNFTに「comeal」がスタート。会員権NFTの可能性と課題』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2022.10.30
■国内初のメンバーシップNFTによる美食コミュニティ「comeal(コミル)」をリリース
以前からNFT自体を売買するより会員証の方がNFTとの相性がいいと考えてきました。
今回ご紹介するのは、美味しいものを食べるという共通の趣味を持った人が集まるコミュニティサービスの会員証にNFTを採用、というニュースです。Co=一緒に+meal=食べ物という社名・サービス名がコンセプトをピンポイントに表していますね。
■comeal NFTのユーティリティ
上記はNFTで一般的にやれそうなことですが、comealという食に関する会社・サービスではこれらを飲食店や美食家に向けて提供されます。
・会員権NFTを発行する仕組み
・会員権NFTを持っているかを確認する認証の仕組み
・会員権NFTを持っている人限定でサービス提供できる仕組み
をセットで提供できれば、NFTを使った会員制サービスを作りたいと思っている企業などに汎用的にソリューション提供できるはずですが、comealという社名から飲食関係に絞って提供されそうです。将来は一般開放というピボットがあるかもしれません。
■店舗ではなくファン側にNFT機能を提供する
通常、飲食店の会員制システムは店舗側に提供されます。
お店用アプリを作るためのプラットフォームサービスや、
Stampsのように汎用スタンプアプリとして複数のお店をひとつのアプリでカバーするソリューションも出ていますが、いずれも店舗側に提供されるサービスです。
今回のcomeal NFTソリューションは天ぷらファンの集まりである天ぷら秘密結社「10+(テンプラス)」のメンバーシップNFTとして提供されます。
お店がアプリは基本的に「囲い込み」「他店排除」の目的で採用されますが、comealのように飲食を趣味としている人に会員権を提供するサービスはあまりありませんでした。
シンプルな理由として、ファン側からお金が取りづらいからです。
有料会員組織も世の中にはたくさんありますが、なかなか成立しづらいのが実情です。
comealの場合、NFTを採用することで「NFTは売買するもの」というなんとなくの感覚を利用してファン側の有料会員化を促すことに挑戦しています。
「NFTは売買するもの」という常識が99%の人には伝わっていない中でどこまで広まるのかが注目です。
■NFTだから、を意識させないサービス展開ができるか?
NFTの 利用状況に関するアンケート結果 - 消費者庁によると、NFTを購入したことがある人の46.5%がイーサリアムなど暗号資産で購入したのに対して71%がクレジットカードでの購入体験があると回答しています。
またどこで買ったか?の問いに対して、OpenSeaなど海外事業者から購入した割合は33.3%なのに対して国内事業者のサイトで購入した人は76.5%に上ります。
NFTの購入単価も1万円未満が59.4%を占めます。
現段階でNFTを買ったことがある人はイノベーター層のさらに先端の人たちだけだと思いますが、それでもクリプトネイティブ層がイメージする購買動向とはかなり違う統計結果のように感じます。
「NFTだから買う」という人たちですらこのような割合になることを考えると、キャズムを超えて有料のファンコミュニティ会員証が「NFTだから」の理由なく買われるようになるとしたら、ますます
・より安く
・より簡単に
・よりどこでも
買えるようになることが必要だろうと思います。
NFTの会員権としての使い方は非常に魅力的なのですが、NFTであること自体を売りにしているとキャズムを超えづらいと感じます。
NFTというバズワードに頼らないマーケティングができるか、値付けや販売方法が取れるかが有料ファンコミュニティ会員証としてのNFTの普及のカギになりそうです。