『Twitter、仮想通貨ウォレット開発を一時停止。しかし実現の暁には「SNS認証」並のインパクトが!』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2022.11.7
■ツイッター、仮想通貨ウォレットの開発計画を一時停止=報道
実際にTwitter社内に仮想通貨ウォレットの開発計画があったのかは不明ですが、もし計画が本当にあって、それが一時停止か中止となるなら残念です。
ウォレットが普及しないからweb3サービスが普及しないのか、web3サービスが普及しないからウォレットが普及しないのか、というニワトリ卵問題があるように見えますが、既に普及しているTwitterがウォレットを持つことでニワトリ卵問題が解消します。
Twitterウォレットが外部サービスで使えることが前提ではありますが、そうなれば相互運用性を前提としたNFTの使い方も一気に増えるのではないかと思います。
あとはTwitter社にメリットがあるかどうかが課題です。
■自社サービス専用ウォレットが乱立する状態は相互運用性を阻害する
今だと、NFTを使ったサービスを考案しても、MetaMaskをインストールしてアカウント作成するところからユーザーに説明が必要です。
このようにまだほとんどのユーザーがウォレットを持っていないことを前提にしなければならないため、web3サービスを企画する時にもその自社サービス内に独自のウォレット機能を持たせた方が確実に利用してもらえるという発想になりがちです。
自社サービス専用に設計されたウォレットの場合、他社サービスで共通利用することが念頭にないケースがほとんどです。STEPNのウォレットも他のサービスで使うことはできません。
自社サービス専用設計のウォレットが乱立しながらweb3サービスが広まっていくことは、相互運用性を阻害する要因にもなると思います。
■SNS認証と同じくSNSウォレットで共通化されれば相互運用性が広がる
従来のWebサービスはそれぞれで会員登録が必要です。会員登録システムや会員認証システムが各Webサービスごとに設計・開発されています。
そしてこの構成が当然だと思い込んできました。
しかしある時から「SNS認証」や「Apple ID認証」など、会員登録と認証の外部連携が普及してきました。
ユーザーの体験としても毎回会員登録するための入力やID/PWの設定が面倒だと多くの人が感じていること、そしてFacebookやTwitterなどのアカウントを持っている人が非常に多いことで実現できたものです。
これと同じように、Twitterが全サービスに共通利用できるウォレットを開発し、接続するだけで会員登録や認証も完了、個人情報や行動ログなどをTwitterのウォレット内に記録したり、開示設定や削除などの操作もTwitterウォレットで行えるようになればユーザーもweb3サービス提供者も楽になります。
web3サービスが自社登録・自社認証・自社専用ウォレットで作られるのではなく、外部ウォレットの接続が前提で作られるようになれば、NFTや行動ログなどを共通利用する相互運用性を持ったサービスが増える可能性が高まると思います。
またそのウォレットがMetaMaskなど新たにインストールが必要なものではなくTwitterなど既に多くの人が利用しているサービスに付加されることで、web3サービスの普及が加速するだろうと思います。
■Twitter社がSNSウォレットを提供するメリットがあるのか?
他社サービスのためのウォレットを提供するとなるとTwitter社にはメリットがあるのでしょうか。
ひとつは、ウォレットの使い勝手がよければ手放すことができない状態になり、Twitter離れを防ぐことができる点が挙げられます。Twitter離れ・Twitterユーザーの高齢化が囁かれている中では大きなメリットです。
しかしウォレットの仕組み上、ブロックチェーンのデータを参照しているだけでウォレット自体には何のデータも保管されていないため、ウォレットの移行コストはそれほど高くありません。
ウォレットという言葉からウォレット内にデータが格納されているイメージを持つかもしれませんが、かみ@図解おじさんの上記の図説が非常に明解です。
こういう構造なので、Twitterウォレットができたとしても独自に使いやすさを追求して競合に勝つ必要はあります。しかし多くの人は一度作ったウォレットを移行させないような気がします。先行者有利が働きやすいでしょう。
もうひとつ別のTwitter社のメリットを挙げるとしたら、今後Twitterを機能拡張したり別のweb3サービスを展開しやすくなることが挙げられます。
ウォレットを持っている人が少ないことがNFTやトークンを扱うサービスを展開しづらい要因になっているのはTwitter社も同様です。
10月29日に書いた記事『TwitterでNFT売買機能を実装へ。NFTが一気に社会普及しTwitterがECサイトになる?』のようにTwitterがEC機能を持ったりスーパーアプリ化する予感がします。
もしTwitterユーザー全員がウォレットを持ち、暗号資産が入っている状態なら、EC的な物販でもNFT販売でもサブスクでも、ユーザーが望めばすぐに支払えます。全員が支払い可能なユーザーだと見なせる状態はビジネスチャンスを広げます。
Twitter Blueのサブスクの支払いもしやすくなり、ペイウォール動画への支払いができるユーザーが多ければ投稿数も増えるという好循環が作れます。
他社が利用可能なかたちでウォレットを実装しなくても、Twitter社の自社利用だけでもメリットは大きいように思いますが、他社利用可能というユーティリティを追加した方がTwitterウォレットの利用者数が増やしやすく、結果Twitter Blueの加入者も増やしやすいんじゃないかと思います。
■ウォレット接続だけで使えるweb3 UXの要になるかも
会員登録不要、ウォレット接続だけ。のweb3 UXを実現する要はTwitterウォレットかもしれません。MetaMaskは今NFTを触っているクリプトネイティブの人が思っている以上に多くの人にとって難解で、むしろweb3普及の大きなハードルになってしまっていると思います。
大きなマーケティング予算を使って広く多くの人にとって使いやすいUI/UXを実現したTwitterウォレットができればweb3が一気に普及するきっかけになるのではないかと本気で期待しています。
さらに競合SNSやスーパーアプリたちがTwitterウォレットより使いやすいものを開発する競争が起きればもっと普及が早まるでしょう。
「開発計画を一時停止」というニュースではありますが、早期に開発再開されることを願っています。
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