『トークン化資産は決済手段になるか→ならないだろうけど』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2024.1.23
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■トークン化資産は決済手段になるか
「トークン化資産は日常的な決済において法定通貨をリプレースするだろう」
という主張ですが、この記事に書かれているものとは違う理由で、きっと難しいだろうと思います。
技術と法規制が理由で普及しないのではない
この記事では
・膨大な取引量にブロックチェーンのスピードが耐えられない(技術革新が必要)
・マネロンに使われる懸念から国が法規制をするので普及しない
・ブロックチェーン取引は自律分散型で責任者がいない(ので、マネロン対策ができず国が許可しない)
という理由を挙げています。
これらが理由だと、トークン化資産に限らずすべての暗号資産が普及しないということになります。
トークン化資産とは、投資信託や不動産、金などの裏付け資産があるトークンのことですから、ビットコインやイーサリアムなどの裏付け資産がない暗号資産より安全性が高いようにも感じます。
しかし、実際には裏付け資産がないビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、USDコイン(USDC)でフェラーリが買えたりします。
技術と法規制の課題はトークン化資産もビットコインも同じです。違うのは流動性です。
流動性とは、簡単に言うと「買いたい時に買えて、売りたい時に売れる度合い」のことです。
物々交換は流動性が低い
トークン化資産を決済に使おうとすると、原理的には「物々交換」になります。
不動産を担保にしたトークン化資産があるとします。裏付け資産は家や土地などの不動産で、トークンの価値を不動産の価格がきちんと担保しています。
この不動産トークンでフェラーリを買えるようになるためには、受け取った不動産トークンをフェラーリ社がいつでも現金化できる状態が必要です。
しかし実際は、不動産投資したい人、その不動産が値上がりすると思っている人しかトークンを買おうとしないので、トークンを売りたい時に売れない問題が起きます。これが「流動性が低い」という状態です。
トークン化資産がもっと普及して、現金化しなくてもトークン化資産どうしで交換することが一般的になれば別ですが、とうぶんの間は現金化できるかどうかで判断されるはずです。
不動産トークンとフェラーリトークンを直接交換するということは物々交換に他なりません。間に「お金」をはさむことで価値を比較できるようにし、物々交換の流動性を高めてきたという歴史的経緯があります。
お金が発明されたのは「物々交換は流動性が低い」という課題を解決するためであって、トークン化資産という新しい技術の誕生したとしても、物々交換の時代に逆戻りすることはないはずです。
トークン化資産どうしの交換でも手数料は下がらない
「トークン化資産は裏付け資産があり金銭価値が証明されているから、トークン化資産で直接払った方が現金に交換するための取引コストは下がる。」
という主張ですが、トークン化資産を受け取った側が現金化するときに手数料を負担するかたちになるので、そのぶんを割り引くことになるでしょう。
さらに、投資信託の価格が下がるリスクもあるため、リスクぶんを割り引くことにもなるはずです。最悪、何か月も買い手がつかないようなトークン化資産もあり得ますので、すぐに現金化したい人にとっては大きな割引率でしか交換に応じないでしょう。
価値が同じもの同士なら物々交換が成立するという発想自体が誤りです。
これが成立するなら、今でも「住宅と住宅の交換」「車とダイヤの交換」などが行われているはずです。
ニーズマッチングサービスプラットフォームも作ろうと思えば作れるのに存在しないのは、やはり物々交換より現金化の方が合理的だからです。
トークンは流動性が大事
RWAトークンは、直接決済に使われる未来の絵を描くより、他のトークンやステーブルコインなど現金に近いトークンと交換する前提での取引市場を活性化させ、流動性を高める=いつでも売れる状態を目指す方が現実的じゃないでしょうか。