『いまどきの「獣医学部」 動物実験を減らす「VR実習」、今後はAI訓練用にも?』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2024.5.6
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■【大学トレンド】いまどきの「獣医学部」 動物実験を減らす「VR実習」、病院以外への就職は?
VR技術と獣医学部の実習や手術の訓練はとても相性がいいですね。
麻布大学では、牛や馬を飼育しているキャンパスも持ちながら、獣医学部の実習にVRを活用しているとのこと。
失敗できない麻酔や手術の実習をVRに置き換えることで、失敗を通じて学ぶことができるようになりますし、飼育している動物たちが都合よく病気をするわけでもありませんから、必要な実習機会を必要な時期・必要な量だけ得ることができるのもVRのメリットだと言えます。
医者の終業後のトレーニングにもVRを活用
獣医師に限らず、人間相手の医師についてもVRによるトレーニングが役立ちます。医師免許を取得した後の就業後でも手術の経験を積むのは容易ではありません。レアな病気はやはり来院者も珍しいわけで、世の中的にも手術経験のある医師が増えにくいという課題があります。
航空機の飛行訓練にVRが活用されるのと同じく、失敗すると命を失うケースにおいてはVRで経験を積むことはとても有用です。
パイロットがそうであるように、医師や獣医師は今後、シミュレーターでの実習とリアルな体験をカウントアップするようになるのでしょう。
PC-9801用「LIFE&DEATH」
私が中学生の頃、PC-9801で手術シミュレーションゲーム「LIFE&DEATH」をプレイしたことを思い出しました。
当時としては画期的なリアル系のゲームで、虫垂炎を患った入院患者を相手に正確な手順で盲腸の切除を強いられるものでした。
医療知識も必要で、ゲーム内に登場する「授業」を受けて本当に学ばなければなりませんでしたし、ゲームとしてもマウスで切開するラインを引くことも難易度が高く、わかっていても操作ミスで患者を死なせてしまうことが多発しました。
30年以上前の「LIFE&DEATH」よりは今のVR実習のほうがきっと実践的で役立つものにはなっているはずです。
災害現場全体をVRで再現も
手術や治療というミクロなところだけでなく、災害の発災における群衆の対処や救助・治療の優先度判断をするトリアージもVRで訓練対象となっています。
バーチャルツインとして実在の街を再現すればより精巧なシミュレーションができるようになりますし、医師以外の大勢の役割を同時にシミュレーションすることもできるようになります。
AIやロボットの訓練用になるだろう未来
今は獣医学VRや医療VRも人間が訓練するために作られていますが、AIやロボットが学習するために開発されるようになるだろうと思います。
手術の執刀を任せるのはまだ無理にしても、病気の診断や適切な薬選びなどはもうAIの活用が進みつつあるのではないかともいます。AIの診断とOTC医薬品の窓口購入が許可されるなら町医者は要らなくなるのではないかとも実感的に思います。
スターウォーズでは治療するロボット、ドロイドをイメージしてしまうとまだSF感がありますが、かなり近い将来、VRシミュレーターで訓練したAI医者が診断を下すようになる、かもしれません。
スターウォーズの医療ドロイドを引き合いに出しているフォーブスの3年前の記事でも、既にロボットを介在させた手術で患者の死亡率は大差ないとしています。
VRの医療活用は人間向けよりもAI向けのほうが成果が上がるのではないかと思います。AI+ロボティクスで手術した場合の方が死亡率が低いなどのエビデンスが出始めてくるのはいつ頃になるでしょうか。