見出し画像

『90年代の知識で答える16bitアプリ版ChatGPT『WinGPT』過去にいるAIは未来予想できるか?』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.7.1

■Windows 3.1版ChatGPT『WinGPT』公開。90年代の知識で答える16bitアプリ

ウェブサイトDialup.netの開発者は、Windows 3.1環境で動作するChatGPTクライアントアプリ「WinGPT」を開発、16ビット時代のOSで最新のテキストAIチャットボットを利用可能にしました。
Windows 3.1用AIアシスタント「WinGPT」はインテル386以降のCPUを搭載する16および32bitのWindows OSにWinsockを導入した状態で動作します(64bit OSは動作対象外)。

ソフトウェア的に90年代の知識で答えるChatGPTを作ったのかと思いきや、

インテル386プロセッサー搭載の16bit機で動作するWindows3.1上で最新のChatGPTを動かせるようにした

というプロジェクトでした。

「古いマシンで最新のWebサービスを使えるようにする」は流行っているんでしょうかw


サーバの処理結果を返すだけのはずが90年代にタイムスリップ

しかし不思議なことに

「現在のアメリカ合衆国台大統領は誰?」との問いにWinGPTは「ジョージ・H・W・ブッシュ」と答えています。ジョージ・H・W・ブッシュ氏は1989~1993年にかけて第41代合衆国大統領を務めた人物です。

WinGPTが現在を1980年代末~1990年代前半だと勘違いしているのは、Windows 3.1が使われた時代背景をソフトウェア的に反映しているからなのか、PCやOSを動作させるためにシステムクロック設定をいじっているためなのかは説明されていません(当時のPCのBIOSのなかには、2000年以降の日付設定で起動しないものもありました)。OpenAI APIを介して回答を得ているだけなら、日付の処理はサーバー側の設定が使われそうな気もします。

サーバ上のChatGPTの処理結果を表示しているはずなのに、今は1990年代だと勘違いした回答をするようになったそう。

1990年当時の知識までしか持っていない最新AIに「現在」という未来を予想させたらどういう反応をするのでしょうか。


GPT-4に1989年シバリで質問して再現実験

プロンプトに年代を指定することで再現できないか、Bing ChatのGPT-4を使って試してみました。

Q.
1989年までの知識で答えてください。 日本の総理大臣は誰ですか?

Bing
‘1989年 日本 総理大臣’ を検索しています

あ、そういう処理の仕方か。
今現在のWebを普通に検索してしまうようです。

A.
1989年までの日本の総理大臣は、宇野宗佑(うの・むねすけ)氏です1。ご参考になれば幸いです。

確かに正しい回答を返してきました。

質問が悪かった。バブル時期の日本が賑やかだったころのAIの発想を再現したくて「1989年」を指定したのですが、1989年は6月3日までが竹下内閣、以降8月10日までが宇野内閣、8月10日から1990年2月28日までが海部内閣と1年に3人も総理大臣がいる年でした。

質問を変えます。

Q.
1989年までの知識だけで答えてください。 携帯電話では何ができますか?

平野ノラのネタで世代を超えて有名になったショルダーホンの時代です。Bing Chatは何と答えるでしょうか。

Bing
‘1989年 携帯電話 機能’ を検索しています

A.
1989年までの携帯電話は、大型で重く、通話と短文のメッセージ送信が主な機能でした1。ご参考になれば幸いです。

普通に検索して、できることは通話と短文メッセージだと見つけてきました。ポケベルがありましたから短文メッセージは送れたんですね。

では1989年時点から携帯電話の未来の進化を予想できるでしょうか?

Q.
1989年までの知識だけで答えてください。 携帯電話は将来どのような機能を備え、どのように生活を変えると思いますか?

A.
1989年までの知識しか持っていないので、将来の携帯電話の機能についてはお答えできません。申し訳ありません。

予想事は拒否されました。。
ちょっとだけ質問を変えます。

Q.
1989年までの知識だけで答えてください。 携帯電話は将来どのような機能を備え、どのように生活を変えると考えられていましたか?

Bing自身の予想を聞くと拒否されるので、世間一般ではどう考えられていたのか?と変更しました。

A.
1989年には、携帯電話はまだ一般的ではありませんでしたが、将来的には、通話やメッセージ送信以外にも、ビデオ通話やインターネット接続などの機能が追加されることが予想されていました。 例えば、1992年には、日本のNTTが「PDC(Personal Digital Cellular)」と呼ばれるデジタル携帯電話サービスを開始し、データ通信サービスも本格的に開始されました1。 ご参考になれば幸いです。

1989年を飛び越えて1992年の事実を引っ張ってきてしまいました。

大昔「空飛ぶクルマが街中を飛び回る予想がされていた」ような回答を期待していたのですが、Web上のデータから学習していること、今現在公開されているWebを検索して回答をまとめようとすることから、未来予想を年代指定程度のプロンプトでは引き出せないようです。


未来を予想するAIかプロンプトが欲しい

今を起点に10年後や100年後をGPTに予想させようとしても、誰かがWeb上で予想を発表している情報をそのまま表示してしまうでしょう。

未来を予想するという思考プロセス自体を再現する会話を積み重ねないと、AIに予想をさせるのは難しいようです。

プロンプトや会話プロセスの工夫で実現できそうな気はします。未来予想専用にUI/UXが作られたサービスがあると、ガジェットギークから新規ビジネスの改善壁打ちなどなど楽しく使えそうな気がします。

年年歳歳の事実を食わせ続けて、予想が正しかったかを確認、間違っていたら予想プロセスを修正して精度を上げる、なんて育て方ができれば実用的に進化しそう。「歴史から学ぶ」ことで未来予想、いいAIの使い方じゃないかなーと思います。

いいなと思ったら応援しよう!