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『AIカバーをYouTubeが公式に機能化「ドリームトラック」声の利用の課題を整理できるか』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2023.12.30


■本人超えも?YouTubeの新機能「ポップスターのAI生成音声」で私たちが音楽を作れる!

リアルな音声や動画がフェイクニュースを助長し、新たな犯罪が生まれてしまう緊張感が高まっている現在。

権利侵害が問題視される一方で、むしろポジティブに捉える動きも増えつつある。分かりやすい例が、YouTubeが発表した「ドリームトラック」と呼ばれるAI機能だ。

なんでも、選ばれし有名ポップスターのAI生成音声を用いて、ショート用の30秒トラックを簡単に生成できてしまうらしい……!

「AIカバー」という動画のジャンルをご存じでしょうか。
初音ミクに代表されるボーカロイドの「実在人物版」ともいえるのがAIカバーで、TikTokやYouTubeに多数の動画がアップされています。

上記はテレビアニメ「鬼滅の刃」遊郭編オープニングテーマ、Aimerさんの「残響散歌」を米津玄師さんの歌声AIで歌わせてみた動画です。音質の悪さなど多少違和感は感じますが、米津玄師さんが本当にカバーしたと言われても気づかない人が大半じゃないかと思えるほどのクオリティです。

・・・このように具体例を挙げることは正直躊躇します。米津玄師さんが「声」の使用を公式に許可しているわけではありませんし、「声」の権利保護を求める意見も多々ある中で、個人的にもちゃんと整備したうえでないとマズいと考えるAIの使い方例だからです。

私自身は『AIなど先進技術で生活や価値観がアップデートされること』を良いことだと積極的に捉え推進しようとする立場です。AIカバーについても、技術的な面では凄いなぁと感じます。

しかしやはり、歌声の持ち主に対する尊敬の念と、対価は必要だと考えます。

今回取り上げるYouTubeの新機能「ポップスターのAI生成音声」については、公式に許可している歌手の声が正式に使えるサービスです。

このような取り組み自体は良いことだと考えますが、同時に、無許可のAIカバーがグレーゾーンのまま放置されるとAIに対する反対ムーブメントを呼びかねず、AIの社会浸透にとって悪影響を及ぼしかねないという懸念をしています。


米津玄師のKing Gnuカバーがそっくりすぎる 生成AIで揺れる“歌わせてみた”文化の是非

 重ねて著作権の側面のみならず、今後この生成AIによる音声データが対象のアーティストに対し好意的な層のみに利用されるとも限らない。AIによる質の高いフェイク画像が社会問題となっているように、この生成AIによる音声データは「本人が言ってないことをあたかも本人が言っているような音声を作れる」危険性だって当然孕んでいる。場合によっては愛するアーティストに対する名誉棄損を、自身が無自覚のうちに行う可能性があることも頭の隅に必ず置いておくべきだろう。

 しかし一方で、先述のような著名シンガーの歌声データを公式的にAI活用した歌唱ソフトとしてリリースする前例は、これまでにも多数存在する。アーティスト本人の意志や方向性も加味する必要はあるが、彼らの歌声の価値を守りつつ人々が音楽や創作をより楽しむコンテンツとして、上手に生成AIを活用する道も確かに存在しているのだ。

以前からAIカバーについて取り上げられているReal Soundさんでも12月25日の記事で是非の両面が取り上げられています。

上記の引用の中で触れられている「彼らの歌声の価値を守りつつ人々が音楽や創作をより楽しむコンテンツとして、上手に生成AIを活用する道」の具体例が、今回YouTubeが発表した「ドリームトラック」というAIを用いた新機能です。

もちろん、この機能はアーティストらの許可を得ており、参加アーティスト全員がAIによる音楽の未来を見据え、彼ら自身の限界を広げるという意味でも強い好奇心を持っているそうだ。

アーティスト側が公式に許可を出し、良い方向で活用するならば、本人の声のまま多言語で歌わせることができ、グローバル市場でヒットする可能性を生み出すこともできるようになったり、死後も新譜を出したり、時代や世代を超えた「We are the world」を実現することもできるようになるでしょう。

一方、AI歌唱を望まないアーティストの声が無許可で利用されたり、本人の思想信条とは異なるメッセージが込められた歌を歌わされるなども懸念されます。

そのため、リリアを通じて公開される音声には「人間の耳には聞こえず、リスニング体験を損なわない内容の“透かし”が入れられる」とのことで、これによりオンライン上のコンテンツが本物か偽物かの判断を容易にするという。

YouTubeの「ドリームトラック」では、AI歌唱であることを識別するための音声透かしを入れるとのことですが、無許可のAIカバーを取り締まるのかどうかは今回は発表されていません。


AIによる"ニセモノの声"が氾濫 日本やハリウッドの俳優たちが表明する危機感

日本の俳優が所属する組合、日本俳優連合もEUの法案採択と同時期に「生成系AI技術の活用に関する提言」を行なっており、EUの採択したAI規制法の理念に賛同するとともに「人間の代替としてのAIによる“表現”の禁止」「声の肖像権の設立」を認めて欲しいとしている。

「声の肖像権」は、AIを公正に発展させるためにも必要だろうと考えます。

私の大好きなラジオの業界でも、伊集院光さんが以前から、自分の声が勝手に使われることを懸念されています。ラジオパーソナリティはAIが学習する材料を毎日毎週大量に生成している状態ですから、やろうと思えば今でも本人の許可なくフェイクなラジオ番組を作ることができるかもしれず、切迫感があるのだろうと思います。

上記の記事では俳優や声優が懸念を表明していますが、同じく学習素材が大量にある人たちです。心配や懸念はもっともだと思います。

GoogleがYouTubeで展開する「ドリームトラック」をきっかけに、多くの人にとって前向きにAIが受け入れられる仕組みが作られることを切に願います。

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