『日本のNFT購入者は8000人?直視すべき現実と採るべきマーケティング戦略』~【新しいWeb3ビジネスのアイディアのタネ】・Web3ニュース2022.6.13
今日は『日本のNFT購入者は8000人?直視すべき現実と採るべきマーケティング戦略』に注目!
おつかれさまです。モリプトタツヤです。
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■日本でNFTを購入したことがある人は8000人程度?
最近は週末にまとめ聴きしているVoicy。(平日はradiko時間で耳が空かないw)
「CryptoNinja」NFTコレクションプロジェクトを主催しているイケハヤさんのVoicyで興味深いテーマを取り扱っていました。
日本でNFTを買ったことがある人は8000人程度。
メディアでもたくさん取り上げられNFTが盛り上がっている感があるのに、実際に買ったことがある人は8000人。いま現在は話題性から感じる印象よりもずっと市場規模が小さく、普通ビジネスが成立する市場には至っていないと。
NFTが話題だし、NFTに絡めたプロモーション企画を立てたり、新しいIPの収益源をNFTで構築することにトライしよう、と考えている企業は増えてきている印象ですが、実際には非常に小さい市場規模感であることを直視ししましょう、とイケハヤさんはVoicyの冒頭でおっしゃっています。
8000人程度というのは前提条件があります。
・OpenSeaで取り扱われる暗号資産ウォレットの数から推定しているということ。
→プライベートチェーン系NFTマーケットプレイスの利用者数は含まれていない。
→STEPNなどNFTゲームは含まれていない。
つまり比較的純度の高いイーサリアム系NFTを暗号資産決済で販売するNFTについての市場規模だということです。
■日本国内8000人のNFT市場での戦略
イケハヤさんはVoicyの中で、8000人しかいない日本のNFT市場での戦略・方針を示しています。
1.既存8000人以外の「初めてNFTを買う人」をターゲットにすること。
8000人の既存購入者のお財布にも限界があります。
魅力的なNFTプロジェクトが毎月たくさん登場する中で、同じ人に何度も買ってもらうことは難しい。そのため既存8000人以外の「初めてNFTを買う人」に買ってもらう戦略を取ることが現在は有効だとしています。
「初めてNFTを買う人」をターゲットにする場合の工夫ポイント
・1点あたりの金額を思いっきり下げること。
0.001ETH(200円くらい)+ガス代がCryptoNinja Partners以降の標準設定になりつつあります。
1点数万円の価格設定では「初めて」の人には確かに届きにくく、数百円(+ガス代)なら確かに買いやすいと感じる人も増えそうです。
単価数百円でも制作費が賄えるように数多くのNFTコレクションを一気に販売して数で補います。すると1点モノを高値で売るよりも良いことが生まれます。
- NFTホルダー=ファンがたくさん生まれ、ファンから波及する影響力が高まる。
- 二次流通が活性化し長期にわたってロイヤリティ収入が得られるようになる。
- 数多くのNFTを一気に完売できるように強固なコミュニティを作ることに注力するようになる。
CryptoNinjaの場合、強力なコミュニティを作ることから始めて既にカタチになっているから取り得た戦略とも言え、これから新しくNFTプロジェクトを立ち上げる際にコミュニティなしで数千点の低単価NFTは売れないはずです。
雑に数万円を超える高単価NFTを売るよりもきちんとコミュニティを作ってから販売戦略を考えようという流れになる、丁寧なアプローチに意識が向かうという意味でも低単価×多数販売は良い方法です。
・初心者向け説明会の実施や疑問質問に答える体制など安心して買える環境を作ること。
MetaMaskの難解さと事故の多さが「初めて」の人にとっての最大の関門です。
OpenSeaで販売する戦略を取る場合はMetaMaskの習熟は避けて通れないため、初心者のフォローアップを丁寧に行うことが重要です。
フォローアップの体制もコミュニティが担うため、やはりコミュニティが重要です。単にNFTを作って売るという方法より丁寧なアプローチで、収益性だけを考えたら効率が悪いとも言えます。
しかし例えばIPモノであればファンありきのビジネスであるため、長期視点に立てばここで強いコミュニティが作っておくことが将来のNFT以外の販売戦略でも有効に機能するかもしれません。
2.安易に海外市場をターゲットにしない。
日本国内に8000人しか買える人がいないなら海外に向けて売ればいいじゃないか、と考えそうなものですが、NFTは海外のプロジェクトの方が圧倒的に数が多く、購入者側も目が肥えています。
日本が小さければ海外に、と安易に考えると日本にも海外にも届かないプロジェクトになる恐れがあります。海外でも勝てるという見込みや具体的なマーケティング方法を持っていない限り、日本向けに販売する方が成功確率は高まるはずです。
3.コミュニティメンバーが望むNFTのカタチにすること。
冒頭で「比較的純度の高いイーサリアム系NFTを暗号資産決済で販売するNFTについての市場規模」が8000人だとお伝えしました。
プライベートチェーン系のNFTマーケットプレイスは日本円で決済できるところがほとんどで、クレジットカードを持っていれば購入可能です。
初心者にとって最大の関門であるMetaMaskを全く意識する必要がなく、また高額なガス代をNFT購入時点では払う必要がない場合も多いため、間違いなく初心者は買いやすいでしょう。
しかしNinja DAOコミュニティはプライベートチェーン系NFTを望んでいません。
日本市場に向けて販売するのではなく、顔が見えているコミュニティメンバーに販売する戦略なわけで、メンバーが望んでいない販売方法は取れません。
NFTとしての純度と永続性が高い、いわゆる「本物のNFT」が好まれるコミュニティが形成されているし、NFTである必然性=デジタルノベルティとは違う可能性やユーティリティを求めているので、MetaMaskのハードルは今のところあっても純度を下げることはしません。
逆にNFTプロジェクトによっては純度より機能の方が求められる場合もあるかもしれません。たとえば「to Earn」系のNFTゲームはトークンの市場売買で稼ぐことが主目的になりやすく、ゲーム内のすべてのアイテムや行為がフルオンチェーンであることをユーザーが求めないケースも多いはずです。
※「Isekai Saga」のようにフルオンチェーン自体がウリのゲームもありますが、STEPNのようにNFTシューズとトークン以外はオフチェーンで構築されている、というものも数多くあります。
コミュニティ軸でNFTの販売戦略を立てる場合、コミュニティメンバーが望むもの、提供するユーティリティ、リテラシーなどを総合的に勘案したほうがよく、NFTである必然性が見いだせなければ無理にNFTにする必要もないと思います。「NFTっぽいもの」は未来への汚点になりかねないので流行っているからといって妙なことはしないほうが無難です。
■今後は純度の高いNFTが買いやすくなる環境が整う(はず)。待つことも大事。
要するにMetaMaskの難解さが問題の多くを占めているわけで、少しずつその関門を突破する人数が増えるにせよスピードは遅くなります。
日本のNFT市場規模が大きく拡大するためにはMetaMaskを意識しない買い方が整備されることが期待されます。
クレジットカード決済でNFTを買えるように。
・OpenSeaでもクレカ決済ができるようになること。
・プロジェクト独自販売サイトでクレカ決済できること。
マスターカードは暗号資産を購入することなくクレジットカードで直接NFTを買えるようにすることを表明しています。
暗号資産の近くにNFTを。
・MetaMask不要、口座開設でカストディウォレットが無意識に作れる暗号資産取引所でNFTが買えるところが増えること。
・そのカストディウォレットが外部のWeb3サービスでMyウォレットとして接続可能になれば安全性も利便性も高い。
・暗号資産取引所に入金してある日本円でNFTが買えること。
・クレカで暗号資産が買える取引所が増えること。
OpenSea1強からの分散。
・MetaMaskが不要なNFTマーケットプレイスが増えること。
・複数のNFTマーケットプレイスに同時出品できる独自コントラクトのNFTが増えること。
このあたりの環境整備が進んでくるのがおそらく今年の秋~冬頃なんじゃないかと予想しています。
NFTプロジェクトも同じターゲットユーザーを奪い合う過当競争になりつつありますので、無為に純度を下げたNFTプロジェクトを拙速に立ち上げるよりも今はコミュニティを育ててNFTプロジェクトの企画を一緒に考える期間に充てたほうが成功確率が高まる気がしています。